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欲しいのは愛だけ
第14章 手に入れた愛
いくつか、訃報が届いたりもした。


ひとつは、優子先輩の訃報だった。
実の母親のことでもあるので、
中学生になっていたメイちゃんには伝えた。


「私のママは、メイママだけ」と言って、
私にしがみつくように泣くのを見て、
「判った。
俺だけお別れしてくるよ?
メイメイはメイと家に居て」と言ったので、
私はメイちゃんのことをギュッと抱き締めて落ち着くのを待った。

そして、航平さんの喪服を用意した。




お通夜から帰宅した航平さんは、
会葬御礼の封筒をそっと出した。


「列席者も殆ど居なくて、
寂しいお通夜だったよ」と言った。

封筒を開けて中を見ると、
先輩の苗字は旧姓になっていて、
喪主はお父様になっていた。


「あの人と再婚したんじゃ…?」

と言うと、
「メイ、風呂に入ろうか?」と言った。


今でも毎晩、一緒に入浴していたので、
頷いて主寝室のお風呂にお湯を張って2人で入った。

子供達とも先に入っていたので、
2回目の入浴だったので、
自分はさっとお湯で流してから、
航平さんの大きな背中をスポンジで洗って、
前も丁寧に洗ってお湯を掛けてからバスタブに入った。


フワリと抱き締められながら、
のんびり話をするのがいつもの習慣だったけど、
この日はなかなか話をしようとしなかった。

私は航平さんに静かに寄り掛かっていた。


「あいつも勿論、お通夜に来てたよ。
それで、終わった後、
通夜落としの席で話を少しだけした。
結局、あの2人は再婚しなかったんだって。
理由は…」と言って、
航平さんは私を強く抱き締めてから、
声を絞り出すように言った。


「メイメイの父親、あいつでもなかったんだってさ。
誰か判らないくらい遊んでいて、
条件良さそうな俺とあいつに子供出来たからって結婚迫って、
結果、俺と結婚したんだよ。
でもさ、俺もあいつも同じ血液型で、
優子との間にメイメイの血液型、産まれるハズがなかったんだよ。
あいつ、それに気付いて、
優子に詰め寄ったら、
あっさりそのこと言われて、
それでも2人でやっていこうと言ったけど、
そんな稼ぎの悪い男だとは思わなかったって詰られて、
結局別れたんだって」


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