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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
そうだ!
こういう時は、名刺交換だ!
なんて名案!
そう思って、
「あの…優子先輩のご主人様では呼びにくいので、
お名前教えていただきたいです。
名刺交換させていただけますか?」と言った。


胸の内ポケットからスマートな名刺入れを出したので、
私もバッグから名刺入れを出して、
型通りの名刺交換をした。


「森田…航平様ですか?」

「航平で良いよ。
君は、青山さつき…。
メイちゃんって呼ばれてたコかな?」と言われる。

「うわっ。
なんでその呼び名を…?」

「うちのがさ、娘の名前を付ける時に、
後輩でさつきちゃんっていう可愛いコが居て、
メイちゃんて呼ばれてたって言ってたから。
5月生まれで、結局、メイって名前にしたんだ」

ちょっとびっくりしてしまった。


「送って行くから住所、教えて?」と、
ナビに打ち込もうとしてるので、
先輩のご主人様ということや、
お嬢さんの名前のことなんかですっかり打ち解けた気持ちになって、
住所を伝えようとすると、

「ほらほら、ダメでしょ?
初対面の得体の知れないオトコに、
住所教えたら危ないよ?」とニヤリと笑われる。

私はキョトンとした後、
混乱して、
「えっ?どうしたら…」と思ったことを口にすると、

「メイちゃん、素直だね?
揶揄い甲斐がある」と笑われてしまった。


「揶揄われたんですね?」と、
少しむくれた顔をすると、

「ごめん。
可愛いコを見るとついつい揶揄いたくなるんだよね?」と、更に笑われた。


ジャズを聴きながら、滑らかに車は走る。
室内はとても静かで、
タイヤの振動も殆ど感じないほどだった。


マンションの前で車を停めると、
車から降りてドアを開けてくれて、
「靴、履き替えておいでよ。
一杯だけ飲まない?」と言う。

「じゃあ、3分待っててください」と言って、
家に入ると靴擦れに絆創膏を貼ってからシャネルのバレエシューズに履き替えて車に戻ると、
ドアを開けてくれて、
本当に近くのマンションの駐車場に車を入れた。


「その靴なら歩けるよね?
あれ?
結構、背が低いんだね?」と笑われる。


あった日に何回笑われたのかな?と思いながら、
2人でのんびり銀座の裏通りを歩いた。
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