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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
重たそうな木の扉に「OPEN」という小さいプレートが掛かっている地下1階のバーに入った。

ママさんが1人でやっている小さなカウンターだけのバーだった。


「おかえりなさい。
あら、森田さん、女の子連れ、珍しいわね?」と言いながら、
おしぼりを渡してくれる。

「これから口説こうと思っててさ。
いつものを。
メイは何、飲む?」

「森田さんは何を…」

「航平」

「えっと、航平さんは何を召し上がるんですか?」

「マッカランのロック」

「では、同じものを。それとお水もお願いします」

「お酒、強いの?」

「そんなに強くなくて…眠たくなっちゃいます。
さっきもシャンパンでふらついてたのかも」

「じゃあ、酔わせて眠らせたところを、おんぶして運べば良いんだな」

「ダメダメ。私が見張ってるから」と言いながら、
ナッツやチーズの入った小皿と、
ロックグラスに入ったマッカランを出してくれる。

「メイちゃんは、お水たくさん飲んでね?」と大振りのタンブラーのお水を出すと、ママさんは奥のカウンターの方に行ってしまった。


「久し振りに妻と話をしようかと迎えに行って、
『結構です』って言われるとは…。
でも、代わりに可愛いコと会えたから良しとするか」と言いながら、
一気に最初の一杯を飲み干して、
「ママ、おかわり。氷はそのままで良いから」と声を掛ける。

「あら。
面倒だから、次はダブルにするわね」と笑って、
同じグラスにマッカランを入れて渡した。


「お酒、強いんですね?
でも、ロックは氷が溶けるのを眺めながら飲むのが良いのに…」と言うと、
「のんびりした性格なんだね?」と笑った。

「味が変化していくのも、
楽しくないですか?」

「んー。
酔う為に飲んでるから、
そんなこと、考えもしなかった」と、
少し暗い目をして呟いた。
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