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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
私が一杯を飲む間に、
航平さんは更にもう一杯のロックのダブルを飲みながら、
あれこれ話をした。

というより、あれこれ話を訊かれた。


「結婚は?」

「離婚しました」

「なんで?」

「浮気されて…」

「許せなかったの?」

「相手に赤ちゃん、出来たからって…」

「子供は居なかったんだ」

「あんまりそういうこともしなかったし…」

「若いのに?」

「魅力的じゃなかったんじゃないですか?私…」

「そんなこともないと思うけど…。
まあ、相性とか好みはあるからね」

「航平さんは、お子様は1人?」

「うん」

「優子先輩、お元気ですか?
私…なんとなく離婚したのを引け目に感じて、
壁の花みたいになってて、
たいして誰とも話もしないで逃げ出したんです」と笑った。

「じゃあ、お姫様の逃亡を手助けしたんだな?
それは良かった」と笑った。

「もう、離婚して3年経つんですよ。
引け目を感じるなんて…。
馬鹿みたいですよね?」と口にすると、
涙が出てしまう。

「大丈夫?」と言いながら、
指先でそっと涙を拭ってくれる。

「ごめんなさい。
何の涙か自分でも判らない。
こんな話、誰ともしないから…」


「お姫様、泣かせちゃったな。
帰ろうか?」
と言って、ママさんにカードを渡して会計をする。

「あっ!
送っていただいたお礼に、
私がご馳走したかったのに!」と言うと、

「じゃあ、今度ご馳走して貰うから」と笑った。


お店を出て歩き始めると、
結構脚が早くて、着いていこうと少し早歩きをした。

航平が振り返って、
「ごめん。俺、脚が早いから置いて行っちゃうんだよね?」と言いながら手を繋ぐと、
「これなら置いて行かないでしょ?
脚、痛くない?
メイのペースに合わせるから」と笑う。

ドキン!と心臓が鳴ってしまう。


「あー。
何か腹減ってきた。
夜食でも作るか」と言う。

「自分で?
優子先輩が作ってくれるんでしょ?」

「自分で作るよ?
結構、料理には自信あるし」

「そうなんですか」

「食べてく?」

「こんなお時間に、ご迷惑ですよ。
お子様とかも、起こしちゃうでしょ?」

「誰も居ないから」

「えっ?」

「一人暮らしだから」

私は混乱して立ち止まってしまう。

「ずっと別居してるんだよ」と言って、
航平さんは手を引いて再び歩き始めた。





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