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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
程なく、航平さんのマンションの前に着いた。

「どうする?
食べてく?」

「えっと、こんな時間に食べると太っちゃうから、
遠慮します」

「酔い覚ましに何か飲むのは?」

私は笑いながら首を横に振った。


「じゃあ、送って行くよ」と、
手を繋いで歩き始めるので、

「近くだから大丈夫ですよ?」と言うと、

「遅い時間だから家の前まで送るよ」とそのまま歩き続けた。



私のマンションの前で、
「ありがとうござ…」
と言おうとすると、

「悪い!
トイレ貸して?」と言う。

「えっ?
あの…」

「家までもたない。
膀胱が破裂しそう」と真剣な顔で言うので、
慌ててカードキーを出してエントランスを抜けてエレベーターに乗り込むと、
家のドアを開けて「こちらです」と言って通した。


玄関で子供みたいに脱ぎ散らかした靴を揃えて置く。

フェラガモの靴か。
丁寧に磨いて手入れしてるのね?

と、少し感心しながら、
自分の靴も揃えて置いた。

ピンヒールも蹴飛ばされてたので、
端に並べてから、
洗面所で手を洗ってうがいをした。


そっとお手洗いから出て来た航平さんが照れ臭そうな顔をして、
「ありがとう。
助かったよ」と笑った。


「ご馳走になっておくっていただいたお礼に、
何か作りましょうか?」と言うと、
嬉しそうに「良いの?」と更に嬉しそうな顔をした。


「週末に買い物するから、今日はたいして材料ないけど…」と言いながら、
冷凍ストックの鮭を焼いて、
三つ葉を刻んで、お茶漬けを作った。
仕上げに白胡麻と軽く炙った海苔を揉んで振りかけて、
山葵を添えた。

小皿に浅漬けも添えて、
「こんなのしかないけど、
どうぞ…」と言うと、
手を揃えて「いただきます」と言って、
美味しそうに食べ始めた。


2人分の焙じ茶を淹れると、
猫舌の私は息を吹きかけながらゆっくり飲んだ。
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