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欲しいのは愛だけ
第3章 初めてのデート
本当に10分後に「ついたよ」とショートメールが来たので、
エブリンを斜め掛けして、スニーカーを履いて下に降りた。

航平さんは、仕立ての良いオックスフォード地のシャツにチノパンのカジュアルな格好だった。


「メイ、おはよう。
昨日と違ってカジュアルだね?」

「航平さんもね?」と言いながら、のんびり歩き始めた。


「買い物は何処に行くの?
まさか、エルメスやシャネルじゃないよね?」

「まさか!
食材買うだけですよ。
土日にまとめ買いしてるんです」と言うと、
「そうなんだ。
女の子の買い物っていうと、
服とかアクセサリーとか、買いに行くのかと思った」と言って笑った。

「服とかアクセサリーじゃなくて、
パンとかお肉とか野菜を買うんですよ」

「ふーん。
なんか新鮮だな?」

「えっ?
スーパーとか、行かないんですか?」

「ん…」と、微妙な顔をした。
別居してたら、そうそう行かないのかもしれないと思った。


「朝食っていつも召し上がるんですか?」

「いや、会社に行ってコーヒー飲むくらいかな?」

「私、朝はコーヒーとトーストなんですけど、
今日はストックがなくて、お腹空いちゃいました」

「この時間だと、スタバみたいなとこしか開いてないんじゃない?」

「そうですね。
じゃあ、先に食材買っても良いですか?」

「何処行くの?」

「ファーマーズマーケット!
地下鉄で行きます」

「なに、それ?」

「行けば判ります」と言って、
銀座線の駅に向かった。


まだ時間が早くて空いていて、
商品を並べているブースもあったけど、
のんびり回って試食などもしながら野菜や乳製品、調味料を買って行った。

エブリンから小さい保冷バッグとエコバッグを出して、
ポンポン入れながら買い物するのを面白そうに見て、
途中からエコバッグを持ってくれた。


奥のブースは、国産ワインのイベントをやっていたので、
チケットを買って、
色々摘みながらワインを飲んだ。

私はすぐに顔が赤くなってしまって、
途中から葡萄ジュースを飲みながらのんびり過ごした。


「昼間っから酒飲むの、
楽しいね?
本当はどこかお洒落なフレンチでもと思ったんだけどな?」

「でも、こういうのも楽しくないですか?
なんなら、代々木公園のイベントとかに繰り出すのも楽しそう」と私も笑った。
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