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第1章 港ごとにオンナって…

しかし、大阪さんの来襲というか、奇襲には、
かなり驚かされたと思いながら、
窓を閉めていって、空調の温度を調節した。


アポなしで来るのは、
大阪さんくらいだけど、
あの変な自信はどこから来るんだろう？


確か…40代半ばで、
社長とは10歳くらい離れているはずだけど、
本当に外見は綺麗で若々しい。

パーツが整っているだけじゃなくて、
物凄く努力してお手入れしてるのが判るし、
お化粧なんて…デパートの美容部員さん並。

メリハリのある身体に似合う服を着て、
女優さんのような大きな帽子を被っている。

実際、料理番組などでメディアにも出ているから、
半分、玄人さんのようなものだけど、
正直、あのネイルで作られたモノは、
個人的には食べたくないと思う。


今回は、出版したいから、
もっと動いて、なんとかしてっていうことをお強請りしにきたようで、
ランチの後、出版社に行くから社長に同行させようと来たらしい。


ただ、今日は外せない先約があって、
その先約の相手が他ならぬ社長の奥様だったということで、
いくら社長室で枕営業しても聞き入れては貰えなかったということだった。


営業課長に同行させるということで、
今日の処は折り合いをつけた。



こうやって、いきなり東京まで出て来るのは大阪さんだけで、
他の愛人さん達はたいてい社長から会いに行くのが殆どだった。


会いに行くといっても、仕事のついでで、
横浜さんは「ネイルのお手入れ」をしてもらう名目で2週間に一度、会っていた。

私にも時間差で同行させて、
アリバイを作っているつもりだろうけど、
誰もがその存在を知っていた。


名古屋さんは、出張仕事のついでに夜、呼び付けて、
一緒に呑んでから宿泊していた。
フラワーデザイナーとして売り出していたが、
最近は人気に翳りが見えていた。
この前、離婚したと言ってたし、
次に切られるのは、名古屋さんかもしれない。


以前は札幌さんと博多さんも居たけど、
その２ヶ所は奥様が気に入ったエリアで大抵出張に同行するので、
結果、早々に切り捨ててしまっていた。