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欲しいのは愛だけ
第7章 サヨナラ社長
新婚旅行から戻って、お土産のチョコレートを持って会社にご挨拶に行った。
ワンマン社長が仕切っていたあの頃より、
のびやかな空気だった。
藤堂先生が「ランチしましょう?」と言ってくださり、
少し時間をずらして2人でシティセンターの最上階のお店に行った。
仕事でも時々行っていたので、
マネージャーさんがわざわざ席まで来て、
「お久し振りですね?」と挨拶に来たりした。
「メイちゃん、お元気そうね?
ひょっとして?」
「あ…まだ初期ですけど…」
「まあ!
おめでとう!
悪阻とかは?
ここのお店で大丈夫だったかしら?」
と喜びながらも心配してくださった。
「私は結局、子供出来なかったしね?
まあ、あの人に問題あったんだけど、
すごく姑からはキツく言われてたわ」と、
意外なことを言われた。
「子供出来ないのは諦めて、
2人で仲良くしていけば良いと思ったのに…。
あの人、1人で落ち込んだり、私に引け目を感じたり、
そのくせ、お姑さんからは守ってくれないマザコンで…
結果、どうせ妊娠させることはないから良いだろう?って変に開き直って、浮気始めるし…」と穏やかに話す。
「私…本当にただ、あの人に愛されたかったのに。
家事とかも手抜きしないようにして、
趣味の延長でエッセイ書いたりしてただけなのに、
それが取り上げられてテレビとかに出るようになったら、
また、いじけてしまったみたいで…」
この日の藤堂先生は、物凄く饒舌だった。
「家でも完璧。
外でも自分より名前が売れてる。
それが彼のプライドを傷つけてしまったのか、
私には勃たなくなっちゃったのよ?
だから…余計に外に女を作って、
自信を持ちたかったのかもね?」
なんて言って良いのかも判らなくて、
水を一口飲んだ。
「あの人、今、名古屋に居るんですって」
「えっ?」
「ほら、フラワーアレンジのデザイナーやってた人…。
地位もお金も無くなって、他の女はみんな居なくなったのよ。
沈没船の鼠みたいに、周りでチヤホヤしてた人も居なくなったけど、
彼女だけ。
でも…
あの人がただ、謝ってくれたら、
私、全て許そうと思ってたのに…。
愛してるって言ってくれればと。
多分、私が許すなんて思わなかったのね?
名古屋のあの人みたいに、
自分から愛してるって言って、
ただ抱き締めてあげれば良かったのかもね?」
ワンマン社長が仕切っていたあの頃より、
のびやかな空気だった。
藤堂先生が「ランチしましょう?」と言ってくださり、
少し時間をずらして2人でシティセンターの最上階のお店に行った。
仕事でも時々行っていたので、
マネージャーさんがわざわざ席まで来て、
「お久し振りですね?」と挨拶に来たりした。
「メイちゃん、お元気そうね?
ひょっとして?」
「あ…まだ初期ですけど…」
「まあ!
おめでとう!
悪阻とかは?
ここのお店で大丈夫だったかしら?」
と喜びながらも心配してくださった。
「私は結局、子供出来なかったしね?
まあ、あの人に問題あったんだけど、
すごく姑からはキツく言われてたわ」と、
意外なことを言われた。
「子供出来ないのは諦めて、
2人で仲良くしていけば良いと思ったのに…。
あの人、1人で落ち込んだり、私に引け目を感じたり、
そのくせ、お姑さんからは守ってくれないマザコンで…
結果、どうせ妊娠させることはないから良いだろう?って変に開き直って、浮気始めるし…」と穏やかに話す。
「私…本当にただ、あの人に愛されたかったのに。
家事とかも手抜きしないようにして、
趣味の延長でエッセイ書いたりしてただけなのに、
それが取り上げられてテレビとかに出るようになったら、
また、いじけてしまったみたいで…」
この日の藤堂先生は、物凄く饒舌だった。
「家でも完璧。
外でも自分より名前が売れてる。
それが彼のプライドを傷つけてしまったのか、
私には勃たなくなっちゃったのよ?
だから…余計に外に女を作って、
自信を持ちたかったのかもね?」
なんて言って良いのかも判らなくて、
水を一口飲んだ。
「あの人、今、名古屋に居るんですって」
「えっ?」
「ほら、フラワーアレンジのデザイナーやってた人…。
地位もお金も無くなって、他の女はみんな居なくなったのよ。
沈没船の鼠みたいに、周りでチヤホヤしてた人も居なくなったけど、
彼女だけ。
でも…
あの人がただ、謝ってくれたら、
私、全て許そうと思ってたのに…。
愛してるって言ってくれればと。
多分、私が許すなんて思わなかったのね?
名古屋のあの人みたいに、
自分から愛してるって言って、
ただ抱き締めてあげれば良かったのかもね?」