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欲しいのは愛だけ
第9章 家族のカタチ
児相に連絡をしたら、離婚したとはいえ、航平さんが実の父親ということもあって、面会出来るということになった。

ちょうど航平さんに連絡しようと思っていたところだったとも言われたようだった。


3人で児相に向かった。

まずはということで、担当の方と話をした。

本人は、食事もろくに取らないし、
誰とも話もしない。
そして、確かに、
虐待を受けていたような痣や傷があったことも確認されていると言われた。

母親の内縁の夫も虐待の加害者ではないかと疑いを持っているようだった。
ただ、母親の起こした傷害事件の件もあるので、
慎重に聞き取りを本人にしていると言っていた。


航平さんからは、
「メイメイ本人が望むなら、
自分が引き取るが、
自分は再婚もしていて妻も妊娠中なので、
まずは気持ちを聞きたい」という話をした。


私は、
「子育てはしたことはないですが、
お話しを伺って、
メイちゃんと一緒に暮らせればと思ってこちらに来ました。
勿論、メイちゃんがどうしたいかを尊重しますが…。
幸い、専業主婦ですので、
寄り添って一緒に過ごせると考えています。
ただ、本当のお母様については…、
こちらに引き取ることになるなら、
メイちゃんの健やかな成長と、私の安全の為に、
接見禁止を…と願ってます。
目の前で母親が他の人を傷つけようとするのを、
二度と見せたくありませんから」と言った。


また、現在、メイちゃんの母親と事実婚をしている田中さんも、
「メイちゃんは可愛いけど、
今の優子の状況と、
仕事で不在がちな自分の生活ペースからすると、
良い環境を与えてあげることが出来ない。
メイちゃんが望むなら…
パパと慕っている人と暮らせるのがベストだと思う。
あんな傷害事件を起こさないように、
遠くへ転居しても良いと思っています」と涙ぐんで言った。




隣の部屋から観察することを条件に、
私と航平さんとで、
メイちゃんと話をすることになった。


部屋に入ってきたメイちゃんは、
一瞬驚いた顔をした後、
泣きながら「パパ、パパ」と航平さんにしがみついて泣いていた。

私も貰い泣きをしてしまった。

暫くすると、
「お姉さん、パパとこの前、一緒に居たよね?」と私を真っ直ぐに見て訊いた。

笑いながら頷くと、

「ママが突き飛ばして、ごめんなさい」と言って、頭を下げながら更に泣いた。
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