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欲しいのは愛だけ
第9章 家族のカタチ
「でもね、ひとつだけ困ったことがあるのよね?」
「なあに?」と、メイちゃんが不安そうな顔をする。
「私もね、メイって呼ばれてるの。
混乱しちゃうでしょ?
どうしようかしら?」
「俺、ずっと、『メイメイ』って呼んでたよ?」
「じゃあ、私もメイメイって呼んでも良いかな?」と言うと、
メイちゃんは嬉しそうに笑った。
「メイメイちゃんは、私のこと、なんて呼ぶ?
メイでもお姉さんでも良いわよ?」と言って、
「いつから一緒に住む?」と訊くと、
「今日から?」とおずおずと言った。
航平さんは、
「判った。
児相の人達と相談してくるよ」と言って部屋を出た。
「お姉さん、パパと住んでるってことは、
パパと結婚してるの?
ってことは、私のママになるの?」と訊くので、
「メイメイちゃんがそう呼びたくなったら、
『ママ』って呼んでね?
でも、すぐにそんなの難しいでしょ?」と笑った。
「学校、もう行きたくないの。
ママのこと、ヒソヒソ言われてたもん」と言うので、
「お家も遠くなるから、
あの学校には通えないかな?
他の学校に変わっても大丈夫かな?」と言うと、
コクリと頷いた。
別室で話をしていた航平さんが、
「今日からうちに行っても良いってさ」と言いながら戻ってきた。
「おじさん、さようなら」とメイちゃんは実の父親である人にあっさりと別れを告げて、
小さなバッグを手に、
航平さんの車に乗った。
優子先輩が、
「本当の父親が誰か」ということをメイちゃんに言っていなかったことは、
本当に良かったと思った。
心のどこかに、
航平さんへの愛情が残っていたのか、
いざという時に戻れるようにと思っていたのかは判らないけど、
メイちゃんにとっては、昔も今も、
パパは航平さんだけで、
田中さんは「単なるおじさん」だった。
どうせ転校させるし、
あんなゴミ溜めのような部屋に連れて行きたくないし、
必要なものは買えば良いだろうということで、
家に立ち寄ることもしないで、そのまま車を走らせた。
そうして、自分の赤ちゃんが産まれる前に、
同じ名前で呼ばれていた娘が我が家にやって来た。
「なあに?」と、メイちゃんが不安そうな顔をする。
「私もね、メイって呼ばれてるの。
混乱しちゃうでしょ?
どうしようかしら?」
「俺、ずっと、『メイメイ』って呼んでたよ?」
「じゃあ、私もメイメイって呼んでも良いかな?」と言うと、
メイちゃんは嬉しそうに笑った。
「メイメイちゃんは、私のこと、なんて呼ぶ?
メイでもお姉さんでも良いわよ?」と言って、
「いつから一緒に住む?」と訊くと、
「今日から?」とおずおずと言った。
航平さんは、
「判った。
児相の人達と相談してくるよ」と言って部屋を出た。
「お姉さん、パパと住んでるってことは、
パパと結婚してるの?
ってことは、私のママになるの?」と訊くので、
「メイメイちゃんがそう呼びたくなったら、
『ママ』って呼んでね?
でも、すぐにそんなの難しいでしょ?」と笑った。
「学校、もう行きたくないの。
ママのこと、ヒソヒソ言われてたもん」と言うので、
「お家も遠くなるから、
あの学校には通えないかな?
他の学校に変わっても大丈夫かな?」と言うと、
コクリと頷いた。
別室で話をしていた航平さんが、
「今日からうちに行っても良いってさ」と言いながら戻ってきた。
「おじさん、さようなら」とメイちゃんは実の父親である人にあっさりと別れを告げて、
小さなバッグを手に、
航平さんの車に乗った。
優子先輩が、
「本当の父親が誰か」ということをメイちゃんに言っていなかったことは、
本当に良かったと思った。
心のどこかに、
航平さんへの愛情が残っていたのか、
いざという時に戻れるようにと思っていたのかは判らないけど、
メイちゃんにとっては、昔も今も、
パパは航平さんだけで、
田中さんは「単なるおじさん」だった。
どうせ転校させるし、
あんなゴミ溜めのような部屋に連れて行きたくないし、
必要なものは買えば良いだろうということで、
家に立ち寄ることもしないで、そのまま車を走らせた。
そうして、自分の赤ちゃんが産まれる前に、
同じ名前で呼ばれていた娘が我が家にやって来た。