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レコンギスタ~征服される制服
第1章 里奈

愛実はにこやかな顔のまま言葉を続けた。「忘れちゃったの?去年同じクラスだったじゃない。まあいいわ。ねえそれよりあなたは誰を殺したいの?」「殺したいだなんて」マリアは絶句する。「私はその人のことを思ってやっただけなのに」「そうなんだ。それで誰のこと殺すの?」愛実は屈託なく問いかけた。
その時、店内にいた客の一組が席を立った。「行こうぜ」「もうちょっといたいなあ」「でも腹減った」「俺らもなんか食うか」「えー、おなか空いてない」
「あ」里奈がハッとする。そして「しまった」というように口元を押さえる仕草をする。「あいつら、あたしの仲間なんだ」マリアは思わず立ち上がった。「あんた!あんたどういうつもりよ!?」
すると里奈はすっと息を吸うと、「うふふふふふふ」堪えきれないといった風に笑い出した。「はははははははは」それはまるで悪魔が高笑いをしているかのような声だった。マリアの顔が恐怖に歪む。やがて里奈はふうと息をつくとその口から毒蛇のような声を出した。「馬鹿が!油断したなあ!」
その刹那。「ぎゃああ!」店内が騒然となった。里奈の腕が見る間に黒く染まり鱗に覆われていく。そして爪が伸び、指先はかぎ状になった。里奈は腕を振り上げるとテーブルの天板を軽々と突き破ってみせた。さらに今度はその鋭い鉤爪を天井へと向ける。
一瞬の後、何か重いものを引きずるような音がして店全体がぐらりと揺れた。マリアの目には里奈の背後に大きな翼のようなものが生えたのが見えたが、それが本当に存在したかどうかは分からない。彼女は悲鳴を上げながらその場を走り去ったからだ。
その後ろ姿を見ながら愛実が言う。「逃しちゃったみたいだけど、いいの?」それから店員に向き直ると申し訳なさそうに手を合わせた。「ごめんなさい。床弁償しますから」「あら、ありがとう。でも今さらね」数日後、あるマンションで火事があった。幸い死人は出なかったが消防士たちが駆け付けた時にはすでに遅く、部屋はほとんど焼け落ちて原形を止めていなかった。だが不思議なことに火災発生当時室内には無人だったという証言が複数あり、中にはガス漏れによる事故ではないのかという憶測すら出た。しかしそれを裏付ける物証は何も見つからず、真相は明らかにならなかったという。
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その時、店内にいた客の一組が席を立った。「行こうぜ」「もうちょっといたいなあ」「でも腹減った」「俺らもなんか食うか」「えー、おなか空いてない」
「あ」里奈がハッとする。そして「しまった」というように口元を押さえる仕草をする。「あいつら、あたしの仲間なんだ」マリアは思わず立ち上がった。「あんた!あんたどういうつもりよ!?」
すると里奈はすっと息を吸うと、「うふふふふふふ」堪えきれないといった風に笑い出した。「はははははははは」それはまるで悪魔が高笑いをしているかのような声だった。マリアの顔が恐怖に歪む。やがて里奈はふうと息をつくとその口から毒蛇のような声を出した。「馬鹿が!油断したなあ!」
その刹那。「ぎゃああ!」店内が騒然となった。里奈の腕が見る間に黒く染まり鱗に覆われていく。そして爪が伸び、指先はかぎ状になった。里奈は腕を振り上げるとテーブルの天板を軽々と突き破ってみせた。さらに今度はその鋭い鉤爪を天井へと向ける。
一瞬の後、何か重いものを引きずるような音がして店全体がぐらりと揺れた。マリアの目には里奈の背後に大きな翼のようなものが生えたのが見えたが、それが本当に存在したかどうかは分からない。彼女は悲鳴を上げながらその場を走り去ったからだ。
その後ろ姿を見ながら愛実が言う。「逃しちゃったみたいだけど、いいの?」それから店員に向き直ると申し訳なさそうに手を合わせた。「ごめんなさい。床弁償しますから」「あら、ありがとう。でも今さらね」数日後、あるマンションで火事があった。幸い死人は出なかったが消防士たちが駆け付けた時にはすでに遅く、部屋はほとんど焼け落ちて原形を止めていなかった。だが不思議なことに火災発生当時室内には無人だったという証言が複数あり、中にはガス漏れによる事故ではないのかという憶測すら出た。しかしそれを裏付ける物証は何も見つからず、真相は明らかにならなかったという。
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