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重ねて高く積み上げて
第2章 私の時間
ドア前まで見送ってくれるユウくんに手を振る。いつものヘラヘラした笑顔で、ユウくんも私に手を振ってくれる。そんな小さな事がいちいち嬉しくてたまらない。

自動ドアが開いて誰かが入ってくる気配に、1歩後ろへ下がる。

「あれ。春川じゃん」

聞き覚えのある声に心臓が飛び跳ねる。

「いらっしゃい、高橋さん」

「オーナー、この子です。俺が今口説いてる子」

血の気が引くとはまさにこの事。賑やかに談笑していた周りの音が、突然消えたような錯覚。ユウくんの顔がへらへらしていない。笑っているけれど、いつもの笑顔じゃない。

「せっかくだし、一緒に飲もうぜ」

高橋さんの手には、今朝、私に渡してきたお土産の袋と同じ柄の紙袋が握られていた。

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