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濡れて堕ちて……
第6章 贖罪
「………………………。」


何も言ってくれない徹。

怒ってる?それとも傷ついてる?

俯き震えるしか出来ない、でも─────



例え罵られても、突き放されても仕方ないと思った。

こんな勝手な私を許してくれる訳がない。



「浩一さんには気付かれてないんですか?」

「浩一は知らない。でも、この罪を私は一生抱えて行くつもりです…」



それが、不倫という大罪を犯した私への罰だと思った。

こんなに辛いものだとは思わなかった。

徹に対しても浩一に対しても、最低な事をしてたのだから。



「前に言ったじゃないですか。陽子さんが幸せならそれでいいって」



優しいその声は─────

私の涙腺を一瞬で壊してしまった。



「え…?」

「陽子さんが幸せになら、俺は満足です」


顔を上げると、いつものあのひだまりの笑顔が、優しく私を包み込んでくれてるみたい。


例え間違った関係でも

あなたに会えてよかった。


私を包んでくれたこのひだまりの笑顔

私は一生忘れる事はないだろう。


「うっ…、ひっく、ごめ…ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさ…っ」

「あー、泣かないで下さいって」


慌ててキッチンから持って来たのは

キッチンペーパー。

ティッシュも何もかもダンボールに詰めちゃってこれしか残ってなかったらしい。

ティッシュがなくて、なんでキッチンペーパーがあるんだか…。

思わず笑みが零れる。
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