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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣
これ以上触られたら死んでしまうかも知れない。

おかしくなってしまうかも知れない。


空気が触れるだけで潤いが止まらない、ソコの感覚を感じながらぼんやり思った。






「俺としては“優しい紳士的な徹君”で近づいて
陽子さんの気を引いて、ゆっくり距離を縮めて──────」




徹が何かをしゃべってる。

けど、しゃべってるという現状がわかるだけで言葉の意味を理解するという思考が上手く働かない。





「俺に惚れてくれた所で、愛の逃避行みたく陽子さんを奪う計画だったんですよ────────」





足と体と、秘部の感覚が徐々に戻って来た。

徹の言ってた薬の副作用のせいで戻るスピードが遅く感じる。

思考回路はぼんやりながら回復しつつある。





「なのにね…
“浩一さんと離婚するような事になったら俺が陽子さんを幸せにする”
って言った瞬間の陽子さんのあの顔。

“陽子さんは現実に怯えて俺から逃げる気だ”って、わかりましたよ。
まぁ、だからこうしていろいろ手を回させてもらった訳ですけど」




私の顔色を見ただけでそこまで読み解けるなんて、どこまで勘がいいんだ。

あの時から、私を逃がさないようにこんな部屋を用意してたって言うの?



荒く弾む息を整えて、感覚を落ち着かせようとした。





「そしたら案の定、はいビンゴ。あんな深刻そうなメールの文面見たら誰だって別れ話だって気づきますから。
いろいろ準備して手を打っといてよかったですよ。
金と時間はかかりましたけど」



すると、徹の手が私の顔にゆっくり伸びて来た。

まだボーッとしてるせいか抵抗する事を忘れてしまった。



カチャリ…

「んっ、あぁ…」

どうやらマウスピースを外してくれたようだ。

外した瞬間、唾液が糸を引いたみたいに口から伸びていて

如何に自分が叫んでしまっていたかよくわかった。


でも、何で急に──────…?
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