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濡れて堕ちて……
第9章 悪夢
「え?」
その日、私は徹からの問いに思わず疑問の声をあげていた。
「だから、よかったら散歩にでも行きませんか?」
徹の口から信じられない台詞が飛び出したのだ。
散歩って事は外に出られるって事なんだろうけど
でも、いきなりどうして?
相変わらず、逃げられないように体の一部には鎖が巻き付いてる。
足だったり、首だったりに。
そこまで頑丈に固定して逃げられないようにしてる癖に。
「あんまり閉じこめてたらカビが生えちゃいそうですから。それとも外は嫌ですか?」
「で、出たい!散歩したい!」
少しでもいい、外に出たい。
日の光も、外気にも当たれない異様なこの部屋
このままここに閉じ込められてたら気が変になってしまう。
「じゃあ、行きましょうか。陽子さんの服の準備しますね」
徹は部屋から出て行った。
今まで、こんなに永く
何もせずに、1つの空間に滞在したことなんかなかった。
浩一との暮らしだって、仕事したり買い物したりして
気晴らしになるような事はいろいろあった。
今は
徹しか気晴らしがない。
徹との行為、徹との会話が今の私の気晴らし。
この部屋には時計がないから正確な時間はわからないけど
多分、1日のうち3回ぐらいは私の様子を見にこの部屋に来る。
食事を運ぶだけの時もあれば
私の体を弄ぶ事もある。
何もせずに帰る時もある。
徹、仕事はどうしてるんだろ?
あの様子じゃ仕事も休んでるのかな?
程なくして徹が部屋に戻って来た。
何やら衣類を抱えて…。
「はい、これ着て下さい」
徹が用意してくれるのは、いつもいかがわしい服ばかりだった。
性器を隠す用途を果たしてない下着や、糸を編み合わせただけの下着。
けど、今目の前に差し出されたのはマトモな服だった。
ちゃんとした布で、ちゃんと衣類の形をしている。