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濡れて堕ちて……
第2章 慟哭










その後の事は覚えていない。

あまりの痛さで意識が朦朧していたから。

耳に入って来たのは、けたたましいサイレンとたくさんの人の声。

体にガタガタと振動が伝わり

体中に管が繋がれて────────






















「はい、検査の結果ですけど異常ありません。恐らく貧血でしょう」

気づくと私は病院のベットに寝かされ点滴を打たれていたのだ。


「え!?あ、あの…」





私は出かける途中、貧血で倒れてしまったみたいだ。

胃の痛みはなくなっていたけど

頭がまだクラクラしている。

ベットで横たわり状況を把握出来ないでいる私に白衣を来た医者らしき人は

私が飲み込めないでいる状況を簡潔に纏めてくれた。




「5月の陽気でも貧血になる人はなりますから。油断しないで気をつけて下さいね」



消毒薬の匂いに手に繋がれた点滴。
何とか現実を飲み込めて来た。



「すいません…」






恥ずかしい事この上ない…。

私が倒れたであろうその場所は、私の職場であるスーパーの近くだ。

誰か知人に見られたんじゃないだろうか?

スーパーのお客様に見られたんじゃないだろうか?

救急車なんて…、何年振りに乗ったんだろう。



「もう少し横になって、点滴が取れたら帰ってもらって大丈夫ですよ」




本当に今日は厄日だ。
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