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濡れて堕ちて……
第13章 本能
「何を、ふざけたことを…」
引っ張たいてやろうと思った。
前に1度引っ張たいたのだからもう1度力いっぱいビンタしてやろうと思ったが
体が動かない。
起き上がろうにも身体中が痛い。
無理に体制を変えようとすれば関節軋むように痛い。
「私は…こんな事望んでない…」
こんな激しい、力任せだけの行為なんて…
「陽子さんも浩一さんみたく、そろそろ素直になって下さい」
え…?
何を言ってるの…?
素直に?
言葉の意味が理解出来なかった。
浩一のように?素直に?
私、頭の中まで麻痺してるのだろうか?
徹の両手が優しく頬を包み込む。
「今の今まで、どうして浩一さんと離婚しなかったんですか?
散々酷いことされたんでしょ?」
まるで、子供を諭すような優しい口調。
けれど、その目は
計り知れないぐらい深い。
まるで、何かの魔物みたいに。
浩一にされた酷いこと。
浮気はなかったにしても、毎日のように道具みたいに扱われた。
私には"権利"も"自由"もないかのように。
それこそ浮気でもしてくれた方がまだマシとさえ思ったこともあった。
シたくない時だって、私は黙って足を広げ続けて来たのだから。