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濡れて堕ちて……
第5章 禁忌
それから、私は徹とちょくちょく会うようになった。

といっても、お互いの休みがあえばの話。

まぁ、いつどこで知り合いに会うとも限らないので専ら徹の家でのデート。


大概、DVDを見て過ごす事がほとんどだ。


「あの作品はシリーズにしない方がよかったですよね?だんだん駄作になって行くと言うか…」

「シリーズはシリーズで面白いわよ?最後の最後に凄いオチがあるんだから!」


浩一とはする事のない会話。

浩一とは諦めてる会話。


テレビを付ければ、たまたま流れたCMを見て


「あ、このチョコ菓子、うちが製造してるんですよ」

「そうなの?私、このお菓子大好き」

取り留めのない会話するだけ。







お互いが休みなら朝の09:00~15:00までが2人の時間。

どんなに遅くても15:00には帰らないと、晩ご飯の準備もあるし、何より浩一が怪しむ。






もちろん、その間に時間があれば─────────



「あっ、あぁん」

「陽子さん、俺に抱かれる度にどんどんエロくなりますね…」












そして、家に帰りシャワー浴びると、残り香がふわっと舞い、また欲情する。

また徹が欲しくなる。

下半身の疼きで
“悪い事”だと自覚するが、その罪悪感すら快楽になる。


悪循環、始末に負えない。




職場では完全に他人の振り。

いつもと変わらず、徹はいつもと同じ商品を持って私のレジに来る。


私もいつも通り、それをスキャンする。


徹が店から出ると決まって長谷川さんが

「相変わらず無愛想だね」

と、私をからかう。



深い仲になったからって馴れ馴れしくしたら怪しまれるし逆に不自然。

店から一歩出れば、ルール違反を犯した男と女。

だからこそ、店では他人行儀でいられる。






そう、私達は間違いなくルール違反を犯してる。

不倫という、人の道を外しかねない行為をしている。


誰も知らない、2人だけの秘密。





けれど、そんな私の変わりように気づいた人間がいた。
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