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ホンモノはいらない
第3章 始まりの雨
「すみま…いや、あの……」
どもる慎一郎をますます不思議そうに観察すると、透子は無言で本を返して、そのまま去っていってしまった。
なんだったんだ……?
首を傾げて透子の後ろ姿を眺め、修復作業に戻ろうとデスクに向き直る。
その背後でジャーッと硬いものが床を滑る音がした。
「慎ちゃんってば、うっとり顔で透子さん見送って、もしかしてもしかして惚れちゃったぁ?」
キャスター付きのイスをクルクルと回転させて、うぷぷっ、と笑いながら現れたのは星野美天(ホシノ ヨゾラ)。
図書館なのだから少しは落ち着いた格好をするように…と、いつも館長から指導されている美天は、名前や格好だけでなく声までもがキラキラと輝いている。
「…なんで、そうなるんですか」
慎一郎は眉をしかめ、落書きの入った本をペラペラと捲った。
「照れなくてもいいのにぃぃっ」
一応は声を潜めながらも、美天はキャーキャーと黄色い悲鳴をあげる。
どもる慎一郎をますます不思議そうに観察すると、透子は無言で本を返して、そのまま去っていってしまった。
なんだったんだ……?
首を傾げて透子の後ろ姿を眺め、修復作業に戻ろうとデスクに向き直る。
その背後でジャーッと硬いものが床を滑る音がした。
「慎ちゃんってば、うっとり顔で透子さん見送って、もしかしてもしかして惚れちゃったぁ?」
キャスター付きのイスをクルクルと回転させて、うぷぷっ、と笑いながら現れたのは星野美天(ホシノ ヨゾラ)。
図書館なのだから少しは落ち着いた格好をするように…と、いつも館長から指導されている美天は、名前や格好だけでなく声までもがキラキラと輝いている。
「…なんで、そうなるんですか」
慎一郎は眉をしかめ、落書きの入った本をペラペラと捲った。
「照れなくてもいいのにぃぃっ」
一応は声を潜めながらも、美天はキャーキャーと黄色い悲鳴をあげる。