この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ホンモノはいらない
第3章 始まりの雨
最後の一冊を棚に収めると、慎一郎は一種の苛立たしさを誤魔化すように息をひとつだけ吐き出した。

閉館までまだしばらく時間がある。美天の追撃と館長の笑顔をいなしながら修復作業を続けるのは大変そうだが、戻らないわけにはいかない。
もう一度だけ溜め息をついてから、踵を返した。

「あ……、」

静けさの漂う広い空間に、柔らかい声がか細く響く。
顔を向けると、そこに彼女が立っていた。

「あ、」

真似をするように慎一郎も呟いた。
どちらからともなく会釈して、うろたえ気味にまた頭を下げる。

「傘、ありがとうございました。お会いできると思っていなかったので、さっき…カウンターの方に預けたばかりで……」

「いや、その……」

出会い頭でトラックにでも跳ね飛ばされたような衝撃に、頭が真っ白になっていた。
もしかしたら今日にでももう一度会えるのではないかと期待していたくせに、本当に会えるとは露ほども思っていなかったのだ。
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ