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ホンモノはいらない
第4章 深夜のレッスン
慎一郎の教えを忠実に実行しようと、真雪はぎこちなく構える。それでもキャベツを切っていくうちに徐々に余分な力が抜けて、ニラを切り終え、にんにくを薄切りする頃にはかなり様になっていた。
「器用ですね」
「基本的に、何でもソツなくこなせるんだ。そいつ」
見張る必要がなくなってほっと肩の力を抜く慎一郎に答えたのは、真雪ではなかった。
「アル、おかえりなさい」
ぎょっとして玄関へ振り向く慎一郎の肩越しに、真雪が嬉しそうに声をかける。
「ただいま。で、誰?」
端正な顔立ちとバランスのとれた細い体つきの男が、僅かに顎を突き出して慎一郎を見つめる。少し長めの髪が目の端にかかり、妙な色気が漂っていた。
「図書館の川端さん。料理教えてもらってるの。…えっと、アルです」
「…お邪魔しています」
最後は自分に向けて言ったのだと頭の端で理解しながら、慎一郎はなんとか挨拶の言葉を口にする。
「……どうも」
頷くように会釈したアルが、チラリと慎一郎の足を見た。
「器用ですね」
「基本的に、何でもソツなくこなせるんだ。そいつ」
見張る必要がなくなってほっと肩の力を抜く慎一郎に答えたのは、真雪ではなかった。
「アル、おかえりなさい」
ぎょっとして玄関へ振り向く慎一郎の肩越しに、真雪が嬉しそうに声をかける。
「ただいま。で、誰?」
端正な顔立ちとバランスのとれた細い体つきの男が、僅かに顎を突き出して慎一郎を見つめる。少し長めの髪が目の端にかかり、妙な色気が漂っていた。
「図書館の川端さん。料理教えてもらってるの。…えっと、アルです」
「…お邪魔しています」
最後は自分に向けて言ったのだと頭の端で理解しながら、慎一郎はなんとか挨拶の言葉を口にする。
「……どうも」
頷くように会釈したアルが、チラリと慎一郎の足を見た。