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ホンモノはいらない
第4章 深夜のレッスン
小さなテーブルの真ん中に鍋を置いて、三人は遅い夕食にとりかかった。
もつ鍋が完成したらすぐにでも帰るつもりでいた慎一郎は、いたたまれない気持ちのまま鍋の中身を掬い取り、当たり障りのない会話に参加してはこっそりと溜め息をつく。
明らかに慎一郎は部外者だった。
それなのに、真雪もアルもその部外者を受け入れているように見える。このおかしな状況に戸惑い、睦まじく笑い合う二人に複雑な思いを抱いているのは慎一郎だけなのだ。
ようやくシメの中華麺が現れると少しだけ胸を撫で下ろし、真雪が中華麺を鍋の中でほぐしていく様子を眺めた。
「次は、チーズをほぐしながら入れてください」
そう言いながら菜箸を受け取って、鍋の中を掻き混ぜる。チーズが全部溶けたのを確かめて、今度は卵黄を入れるように指示を出した。
軽く掻き混ぜて、最後にブラックペッパーを振りかける。
「出来ました」
その一言を待っていたように、アルが腰を浮かせて鍋を覗き込む。
もつ鍋が完成したらすぐにでも帰るつもりでいた慎一郎は、いたたまれない気持ちのまま鍋の中身を掬い取り、当たり障りのない会話に参加してはこっそりと溜め息をつく。
明らかに慎一郎は部外者だった。
それなのに、真雪もアルもその部外者を受け入れているように見える。このおかしな状況に戸惑い、睦まじく笑い合う二人に複雑な思いを抱いているのは慎一郎だけなのだ。
ようやくシメの中華麺が現れると少しだけ胸を撫で下ろし、真雪が中華麺を鍋の中でほぐしていく様子を眺めた。
「次は、チーズをほぐしながら入れてください」
そう言いながら菜箸を受け取って、鍋の中を掻き混ぜる。チーズが全部溶けたのを確かめて、今度は卵黄を入れるように指示を出した。
軽く掻き混ぜて、最後にブラックペッパーを振りかける。
「出来ました」
その一言を待っていたように、アルが腰を浮かせて鍋を覗き込む。