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ホンモノはいらない
第4章 深夜のレッスン
九年前もアルはそうやって調べていた。
手だけではなく、腕も、首も。濡れた制服を脱がせ、下着も剥ぎ取り、裸にした真雪を隈無く確かめていた。
それをアルも思い出したのか、自傷気味に口許を歪めて真雪の手を解放する。
再び肩に顔を埋めてきたアルの頭を、真雪はくしゃりと撫でた。
「……料理くらい俺がするのに」
「うん。でも、私がしたいの」
アルのために。
アルの優しさに甘えてばかりは嫌だから。
アルの負担を、少しでも減らしたいから。
口に出せば絶対に「そんな気遣い、いらねえよ」って叱られるのが分かっているから、真雪は想いを伝える代わりにアルの手に指を絡めた。
握り返す手は思いの外強く、重なった指に痛みが走る。
「アル……?」
「…美貴さんが婚約した」
驚いて振り返ろうとした真雪を、アルが強く抱きしめて制する。
「そっか、……つらいね」
「うん」
くぐもった声に、真雪はまるで自分が失恋したかのような激情を感じていた。
手だけではなく、腕も、首も。濡れた制服を脱がせ、下着も剥ぎ取り、裸にした真雪を隈無く確かめていた。
それをアルも思い出したのか、自傷気味に口許を歪めて真雪の手を解放する。
再び肩に顔を埋めてきたアルの頭を、真雪はくしゃりと撫でた。
「……料理くらい俺がするのに」
「うん。でも、私がしたいの」
アルのために。
アルの優しさに甘えてばかりは嫌だから。
アルの負担を、少しでも減らしたいから。
口に出せば絶対に「そんな気遣い、いらねえよ」って叱られるのが分かっているから、真雪は想いを伝える代わりにアルの手に指を絡めた。
握り返す手は思いの外強く、重なった指に痛みが走る。
「アル……?」
「…美貴さんが婚約した」
驚いて振り返ろうとした真雪を、アルが強く抱きしめて制する。
「そっか、……つらいね」
「うん」
くぐもった声に、真雪はまるで自分が失恋したかのような激情を感じていた。