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ホンモノはいらない
第5章 大切な想い
気持ち早足に館内を歩きながら、慎一郎は横目で自然科学の棚を確かめた。
―――木曜日。
夕方の五時半を回ってもいるのに、そこに真雪の姿はない。
これからも料理を教えて欲しいと頼んでおきながら、真雪は一度も慎一郎の都合を尋ねてこない。何の連絡もないまま、時間だけが流れている。
慎一郎からは一度だけメールしていた。もつ鍋の翌日に、一緒に食事が出来て良かったと伝えたのだ。
それに対しての返信も、来ない。
メールで何か怒らせてしまったのだろうか。
教えて欲しいと言ったのは社交辞令のようなもので、真面目に受け取られて困惑しているのだろうか……
まさか。と思いながらも、その可能性を否定出来ない。
もう一度メールしてみる勇気はなくて、それでも慎一郎は真雪の来館を待って少しだけ話しをしてみようと決意していた。
嫌われていると思い知らされるのはつらいが、うじうじ悩むのも嫌だから。
それなのに、閉館の音楽が流れても真雪は現れない。
―――木曜日。
夕方の五時半を回ってもいるのに、そこに真雪の姿はない。
これからも料理を教えて欲しいと頼んでおきながら、真雪は一度も慎一郎の都合を尋ねてこない。何の連絡もないまま、時間だけが流れている。
慎一郎からは一度だけメールしていた。もつ鍋の翌日に、一緒に食事が出来て良かったと伝えたのだ。
それに対しての返信も、来ない。
メールで何か怒らせてしまったのだろうか。
教えて欲しいと言ったのは社交辞令のようなもので、真面目に受け取られて困惑しているのだろうか……
まさか。と思いながらも、その可能性を否定出来ない。
もう一度メールしてみる勇気はなくて、それでも慎一郎は真雪の来館を待って少しだけ話しをしてみようと決意していた。
嫌われていると思い知らされるのはつらいが、うじうじ悩むのも嫌だから。
それなのに、閉館の音楽が流れても真雪は現れない。