この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ホンモノはいらない
第5章 大切な想い
「心ここにあらず、だな」

帰り支度をしていると、何の前触れもなく背後で透子の低い声がした。慎一郎はびくりと小さく跳ねて振り返る。

「美天が睨んだとーり、恋患いなんですってば。だって慎ちゃん、ずっとため息吐いてるんだもん」

美天が駆け寄って、何故か透子を抱き締める。透子は一瞬狼狽えて美天を見やり、すぐに慎一郎へ顔を向けた。

「そうなのか?」
「違いますよ」

…本当に?

後ろめたく透子と美天から視線を逸らし、コートを羽織る。適当に挨拶して慎一郎は逃げるように図書館を後にした。


恋患い。


その言葉を心の中で反芻する。

まさか。
そんなはずはない。

真雪にはアルがいる。不毛な恋など慎一郎はしたくなかった。


……忘れてしまおう。


彼女が図書館にやってくるたびに同じ本を読んでいることも、もつ鍋のことも、料理を教えることも、笑顔も、可愛らしい声も、全部……

忘れてしまえ。
/58ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ