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ホンモノはいらない
第5章 大切な想い
重厚な木の優しい踏み心地。漆喰の壁にはビールのロゴを型どった錆びついた看板や鏡に印字された英文。それから、セピア色の写真。
狭いエントランスはどこか海外の古いバーを想像させる。
更に奥へ進むと、細長い一枚板の向こう側で白髭を生やしたマスターが顔を上げた。
彼の背後には、多種多様のアルコールが並んでいる。
「やあ、いらっしゃい」
マスターは髭を蠢かしてアルに笑いかけると、面白そうに慎一郎にも挨拶をした。
「ようこそ。珍しいこともあるもんだね…」
後半はアルを見やり、言葉を続けようとしてすぐに口を閉ざして客の注文に答える。
アルは面倒臭そうに店内を見渡していた。
「客を連れてきたわけじゃないよ。…真雪は?」
「二階に料理を運んでるよ」
「真雪ちゃん、今夜は来てるの?」
不意にカウンターにいる客の一人が話しに割って入ってくる。
「今夜も、だよ」
マスターは少し困ったように口角を上げた。
狭いエントランスはどこか海外の古いバーを想像させる。
更に奥へ進むと、細長い一枚板の向こう側で白髭を生やしたマスターが顔を上げた。
彼の背後には、多種多様のアルコールが並んでいる。
「やあ、いらっしゃい」
マスターは髭を蠢かしてアルに笑いかけると、面白そうに慎一郎にも挨拶をした。
「ようこそ。珍しいこともあるもんだね…」
後半はアルを見やり、言葉を続けようとしてすぐに口を閉ざして客の注文に答える。
アルは面倒臭そうに店内を見渡していた。
「客を連れてきたわけじゃないよ。…真雪は?」
「二階に料理を運んでるよ」
「真雪ちゃん、今夜は来てるの?」
不意にカウンターにいる客の一人が話しに割って入ってくる。
「今夜も、だよ」
マスターは少し困ったように口角を上げた。