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ホンモノはいらない
第5章 大切な想い
「へぇ…それは、」
カウンターの男は少し悔しそうに眉をしかめ、マスターから受け取ったグラスを傾けた。
小麦色の透明な液体が、男の喉を鳴らしていく。
「何もしてないですよ。うろちょろしてるだけです」
アルは男にそう話しかけて、カウンター席に座る。
「君は?…毎晩来てるの?」
怪訝そうにアルを見やると、男はまたグラスを傾けた。
「…出来るだけ」
そう答えたアルの前に、ウイスキーグラスが置かれる。
「同じものでいいかな?」
マスターにそう言われて、慎一郎は躊躇いがちに頷いてグラスを受け取った。入っているのはアルコールではなくウーロン茶だった。
それなのに、喉が焼けるように熱い。
僕と会わなくても、この人はここに来る予定だったんだ。
毎晩のようにここに来ている椎名さんのために……
その事実が、真雪への恋心を改めて自覚させる。
僕は、ここで何をしているんだろ……
カウンターの男は少し悔しそうに眉をしかめ、マスターから受け取ったグラスを傾けた。
小麦色の透明な液体が、男の喉を鳴らしていく。
「何もしてないですよ。うろちょろしてるだけです」
アルは男にそう話しかけて、カウンター席に座る。
「君は?…毎晩来てるの?」
怪訝そうにアルを見やると、男はまたグラスを傾けた。
「…出来るだけ」
そう答えたアルの前に、ウイスキーグラスが置かれる。
「同じものでいいかな?」
マスターにそう言われて、慎一郎は躊躇いがちに頷いてグラスを受け取った。入っているのはアルコールではなくウーロン茶だった。
それなのに、喉が焼けるように熱い。
僕と会わなくても、この人はここに来る予定だったんだ。
毎晩のようにここに来ている椎名さんのために……
その事実が、真雪への恋心を改めて自覚させる。
僕は、ここで何をしているんだろ……