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ただ犯されたいの
第18章 【ダッチワイフな女】





古びた2階建てアパートの2階にて。
土砂降りの雨の中、外に放り出された一人の少年。




カツン…カツン…と階段を上るヒールの音。
タイトなスカートにボディーラインのわかる細身のスーツ姿の女。
雨のせいで髪も濡れてる。




ドアの前で三角座りをしていた少年と目が合ってジッと見る。
ふいと目を逸らし傘を窓の鉄格子に掛け、バックから鍵を取り出す。
そして、女は鍵を開けてからこう声を掛けたのだ。



「そんなとこに居たら濡れて風邪ひくよ?鍵なくて入れないの?」



「あ……いや、大丈夫っす」



腕の方にすでに雨が掛かっていて僅かに震えている様子に女は首を傾げた。
こともあろうか、少年の方に近付いてきた。
びっくりして立ち上がる少年に「シッ」と静かにするようジェスチャーし、ドアに耳を立てた。
俯く少年にはずっと聴こえていたのだ。
自分の母親の喘ぐ声。



おそらく、母親が男を連れ込んでいるのだろう。
セックスしている間は時間潰していろとでも言われたのだろうかと女は予測した。




「ああ、訳アリってやつね」と小さく溜め息をつく。
近くに寄ってきた時にフワッと匂う女性特有の匂いに少年は動揺を隠しきれなかった。
香水なのか、女自身の匂いなのか。
母親や同級生からは匂った事のない匂いだ。




「はぁー、終わるまで家来る?」




「えっ?」




思わず大きな声を出してしまい自分の口を塞いだ。



「こんなとこに居たら本当に風邪ひいちゃうよ、鳥肌立ってんじゃん、おいで、終わった頃に戻れば良いよ」




少年は突然与えられた選択肢にどう対応すれば良いのかわからない。
おいで、と初めて大人の女の人に手を引かれた。




「あ、誘拐じゃないからね、これは一時保護」




そう言ってもらえたお陰で心が少し軽くなった。
同じ間取りなのに玄関からして家とは違う。
パチッと電気を着けて入っていく女につれて、少年は靴を脱いだ。
青のローマ字が書いてある洗いざらいのTシャツとベージュの膝丈短パン。
いかにもザ·高校生といった服装とは正反対で、大人の色気たっぷりなタイトなスーツ。




部屋干ししていたブラジャーやショーツを目の当たりにし、恥ずかしくて下を向いてしまう。
片付けてくれてやっと息が出来た気がした。










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