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揺れる心
第9章 星空の下、愛を確かめる
硬くて簡素な小さいベッドで、
腕枕をして貰いながらすっぽりと陸也さんの腕に包まれて眠った。

不思議なくらいあっさりと眠りにつけてしまう。


香辛料の匂いがまだ部屋の中に漂っている。

遠くインドに来ていることも不思議だった。



明るくなると、外が賑やかになる。
鶏や犬の鳴き声もたくさん聴こえる。

目を覚ますと、
陸也さんはベッドに居ない。

驚いて起きると、
キッチンでチャイを淹れてくれているようだった。


「おはよう。
良く眠れたかな?」

「おはようございます。
ぐっすりで…。
陸也さんが起きたのも気が付かなくて…」

「じゃあ、キスしたのも覚えてない?」

「えっ?」

「嘘だよ?
勝手にキス、しないから」と笑う。

私は紅くなってしまう。



「はい。
こっちは猫舌用ね?
牛乳は搾りたてのをさっき隣から貰ってきたから」

「凄く美味しい!」

「昨日、残ったナン、温めたヤツに、
ジャムつけたので良いかな?
それしかないよ」

「これも美味しい。
ナン、どうやって作るのかな?」

「ここには釜がないからね?
隣に行けば見れるし、教えて貰えるかな」

「じゃあ、教えて貰いたいな」

「もうちょっとしたら、診療所に行く時間だな。
場所、教えたいから一緒に行こうか?
あとは、のんびりしてると良いよ」


食べ終わると、陸也さんが食器を洗ってくれるので、
私はバシャバシャと水で顔を洗って歯磨きをした。

髪を緩やかに三つ編みにして、
頭から布を掛けてみる。
なんか、変な感じもするけど、
そのうち慣れるのかなと思った。

サリーは練習しないとすぐには着れそうにないので、
長袖の麻のシャツとジーンズを着てみた。

陸也さんもTシャツとジーンズなので、
とてもお医者様には見えない。

2人でのんびり、近くの診療所まで歩いた。


周りを子供達や大人達がゾロゾロついてきては、
話し掛けてきたり、
恥ずかしそうに顔を見ては逃げて行ったりする。


「陸也さん、この人達って?」

「村の人だよ。
真理子さんが珍しいから、見に来てるの。
可愛いって言ってるよ」

「あら!
ナマステ?」って言ってみると、
恥ずかしそうに笑って、
みんなも「ナマステ」って言ってくれる。

ゾロゾロと列になって診療所に辿り着いた。




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