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揺れる心
第1章 雨の日の出会い
「真理子さんのキス、
すごく気持ち良くて止まらなくなる」と言って、
恥ずかしそうに笑うと、
「これ以上キスしてたら、
押し倒してしまいそうだから。
そんなの、嫌だよね?」


「…」


なんて言うのが正解なのかも判らないほど、
恋愛、してなかったことに、
自分でも情けなくなる。


「本当に一目惚れだけど、
大切にしたいから…。
今日はキスまでにしておく。
ねえ、もう一度、名前を呼んで?」

甘えた顔で言う。


「海斗さん…」


「うわ。
なんか名前呼ばれただけで、
勃ってきた」


「えっ?」


「あ、下品でごめん。
でも、ホントにやばい。
次にキスして、
名前呼ばれたら、
もう止まんないかも」と言って、
額にキスをすると、

「真理子さん、俺、本気だから。
また明日。
おやすみなさい。
あ、危ないから、すぐに鍵、締めてね?」と言うと、
靴を履いて部屋を出てしまった。

私は動けなくて立ち尽くしてると、
もう一度ドアが開いて、
「ほら!
鍵、締めないと襲われるよ?
じゃあ、今度こそ、
おやすみなさい」と笑って、
ドアを締めた。


鍵を締めて、
ゆっくりリビングのソファに座った。


なんだか、突然のことに、
心と身体が上手く一緒に動いてないみたいに感じた。


一目惚れって…。
優しくて、でも少し激しいキスって…。

信じて良いのかな?

8歳も歳下のお医者様なんて?



10分ほどしたところで、
携帯が震えて着信を伝える。

ビクッとして、携帯を落としてしまう。
慌てて拾い上げると、海斗さんだった。


「家に着いたよ。
すごく近いね?
さっきはごめん」

「えっ?」

「会ったその日にキスするとか、
軽薄なヤツと思われたかな?」

「でも私、
突き飛ばさなかったでしょ?」

「そっか。
YESってことだよね?」

「…」

「良いよ。
急がなくても。
ゆっくりお互いのこと、
判りあいたいし。
また、明日」

「はい。
おやすみなさい」

「名前、呼んで?」

「えっ?
海斗さん、おやすみなさい」

「真理子さんの声で呼ばれると、
なんかそれだけで参っちゃうな。
真理子さん、おやすみなさい。
早く明日にならないかな?」

「家を出るとき、電話してね?
道路、空いてるだろうから、
10分もかからなさそうね?」

「判った。
じゃあ、おやすみなさい」
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