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揺れる心
第1章 雨の日の出会い
「あ、携帯だけ教えて?
明日は、何時に迎えに来れば良いかな?」


「何時でも大丈夫ですよ。
朝、起きるの早いし。
でも、お店が開くのはどこも10時とか11時ですよね?」


「買い物して、嫌じゃなかったらプールも行きたいし、
プール、パスなら、
ストレッチ教えたいな。
歩くの大変だろうから、
車で迎えに来るね。
電話するから」


お互いの携帯を登録し合って、
LINEも交換すると、
「じゃあ、お邪魔しました。
ご飯、美味しかったです。
ご馳走様でした」とお辞儀をした。


玄関まで見送ろうと立ち上がってついて行こうとして、
よろめいてしまう。

抱き止められると、
思ったより身長差があることに改めて気づいた。


「真理子さん。
やっぱり、キス、したい」と瞳を覗き込むように言われる。

「えっ?」

「嫌だったら、
押し退けて?」と言うと、
顔を傾けるように屈んでくる。



私は…

そっと瞳を閉じて、
彼の唇を受け入れた。


最初は、啄ばむようなキス。

唇を舌でそっと舐められる。
背中を撫でられると、少しくすぐったくて、
身体を捩ってしまう。

少し開いた唇の間にそっと舌を入れて、
私の舌を探るようにすると、
絡めてくる。

舌を吸われて、
口の中を舌先で探るようにされると、
息が出来なくて目が眩みそうになって、
海斗さんに思わず捕まってしまう。


「んっ?
呼吸、してる?
酸欠になっちゃうよ?」と、
少し余裕のある言い方をされてしまう。


…女の子に慣れてるのよね?
だってお医者さんだもん。
若くてイケメンだし、
モテまくってるんでしょう?


そう思ったら、
少し気持ちが冷めてきてしまった。


それとは裏腹に、
海斗さんはヒートアップしているみたいで、
「もっとキスしたい…」と言って、
リップ音を立てながら何度も何度もキスをする。


あれ?
こんなにキスって気持ち良いものだった?
最後にキスをしたのはいつだった?

考えてみたら、
結婚してた時、
キスすら殆どして貰ってなかった。


いつの間にか、首に手を回して自分からも夢中になってキスをしていた。


どれくらい時間が経ったのかしら?
抱き締められて、背中を撫でられていることに気づいたけど、
すごく長い時間、キスをしていたような気がした。
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