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揺れる心
第2章 初デートはシャンプーの香り
翌日も雨は降り止まなくて、
朝から湿度も気温も高かった。


6時前には目が覚めてしまう。
シャワーを浴びて、
ダイアンのラップワンピースに着替える。
私のワードローブの半分はこのワンピース。
シルクジャージーで皺にもならず、
家で洗濯も出来て、
楽なのにキチンと見えるから、
無地のものからプリントのものまで、
同じ形のものがクローゼットに並んでいる。
袖も五分か七分のもので、
通年、そればかりだった。

この日は、ワンダーウーマンをモチーフにしたものにした。
ちょっとカジュアルな雰囲気のもの。

何時に来るのかも判らないから、
マグカップにミルクティーを淹れて、
明るい窓辺のテーブルに座り、
やりかけの刺繍をしていた。


8時過ぎに海斗さんからの電話が鳴る。


「真理子さん、おはよう。
待ち切れなくて電話しちゃった。
まだ、早いよね?」

「海斗さん、おはようございます。
もう起きて身支度も終わってますよ。
いつでも大丈夫だけど、
まだお店、開いてないですよね?」

「早く会いたくて。
そうだ!
朝ご飯、一緒に食べない?」

「良いですよ。
じゃあ、迎えに来てください。
簡単なものなら、
私の家でどうぞ」

「えっ?
良いの?
嬉しいな。
じゃあ、すぐ行く!」と言って電話が切れると、
本当に15分後にはインターホンが鳴った。

エントランスを開けて少しすると、
ドアのチャイムが鳴る。


ドアを開けると、
「ちゃんとモニターで確認した?
一人暮らしなんだから、
気をつけて?」と言いながら、
部屋に入ると、
「真理子さん、おはよう!」と笑った。


リビングに通して、
ダイニングテーブルに座って貰おうとすると、

「運ぶよ?
脚、まだ痛いでしょ?」と、
一緒にキッチンに入る。


「ご飯、昨日食べきっちゃってたから、
トーストになりました」と言って、
ランチョンマットを渡した。
次に、ハムエッグとサラダを載せたお皿をお願いして、
カトラリーを入れたカゴも運んで貰う。

「コーヒーと紅茶、どちらにします?」と訊くと、
「コーヒー」と言うので、
マシンで淹れているとトーストが焼けた音が鳴る。

トーストをお皿に載せて、
コーヒーと一緒に運んで貰って、
ダイニングテーブルに座った。


「凄いね。
ホテルの朝食みたいだ。
頂きます」と、
仔犬のような顔で笑った。
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