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揺れる心
第2章 初デートはシャンプーの香り
「俺、妾腹なんだよ。
兄貴とは母親違い。
認知はされたけど、
あっちの家には入れて貰えなくて、
不憫に思った爺ちゃんのトコで育って…。
それが大先生。
もう90歳近いけど、まだ現役で週2は病院に来てるよ。
俺は医学部出て、
研修医終わってから爺ちゃんの病院に勤務して手伝ってきてた。
兄貴が大学病院辞めてこっちの病院に来ることになったから、
なんか遠慮して、
夜間の専門学校に通って理学療法士の資格取って、
今はそっちの仕事をメインでやってるんだよ」と、
静かな声で言った。


「爺ちゃんには会わせたいな。
凄く気に入ってくれると思う。
でも、兄貴には…。
兄貴の方が、真理子さんと年齢近いし、
バツイチだけどモテるし、
家も地位もお金も持ってるけど、
取られたくない」と言って、
抱き締めてる手に力が入る。


「海斗さん?
私、本当にそんなに素敵じゃないし…」と言いかけると、
キスで言葉を遮られてしまう。
紅く染まる頬を両手で包むようにして、
何度も何度もキスをされる。


「ごめん。
何でも出来て、何でも持ってる兄貴にヤキモチ妬いてるのかもしれない。
でも、絶対に真理子さん、譲らないから」と言って、
頬にキスをした。


「水曜日はとにかく、
受付したらすぐにリハビリエリアに来てね?
土曜日は爺ちゃんか俺しか診察はしないから大丈夫な筈!
土曜日と日曜日も一緒に居たいな。
平日は仕事だから無理だもんね?
あ、携帯、昼間はロッカーに置いてるから。
病院内は携帯ダメなんだよね。
昼休みは大丈夫だから、
何かあったらいつでも電話して?
夜も。
やばい。
俺、本当に真理子さんに夢中だ」と言って、
優しく抱き締めてくれる。


そして、
「ストレッチ教えるって言ったけど、
ごめん。
今日は無理だ。
そんなことしたら、
俺、我慢出来ないに決まってるから」と言うと、
「水曜日に病院でストレッチ教えるよ。
それで、土日にちゃんと出来てるか、チェックするからね?」と笑った。

立ち上がると、
「水曜日にね?
俺、本当に真理子さんのこと、大好きだ。
こんなに誰かのこと、好きになるなんて思わなかったくらい好きだ。
真理子さんにも、俺のこと、好きになって欲しいから、
真理子さんが嫌がることはしないようにするよ。
おやすみなさい」と言ってキスをすると、
そっと部屋を出て行った。
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