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揺れる心
第2章 初デートはシャンプーの香り
シャワーを浴びて、髪を乾かしてリビングに行くと、
海斗さんはソファでうたた寝をしていた。

ダブルガーゼの柔らかいタオルケットを掛けてあげてから、
食材を下処理しながら冷蔵庫と冷凍庫に入れていく。

こういうことをしているか、
針仕事をしている時が一番楽しかったりする。


でも…プールに入ったせいか、
身体がいつもより重たくて怠く感じた。

一通り片付けると、
ソファの端っこに座ると、
私もうたた寝していた。


先に目が覚めた海斗さんが、
「んっ?」と小さい声を上げて、
私に気づいてそっと抱き寄せるのを感じた。

私も目を覚まして、
暫く海斗さんに寄りかかっていた。


「真理子さん、良い匂いがする。
シャンプーの匂いなのかな?」と言って、
髪に顔を埋めている。


「なんだか…プールのせいか身体が重たくて…眠たいです」と言うと、
「一緒に寝たいな。
でも、間違いなく襲うからな」と笑う。

「次は…水曜日に会えますね?
そして、その次は土曜日…」

「水曜日は、夕方だよね?
診察終わったら、夕食、一緒に食べたいな」

「良いですよ?
ここに来ます?」

「良いの?
嬉しいな」

「何、食べたいか考えておいてね?」

「そんなの、真理子さんに決まってる」

「もう…揶揄わないで?
そうじゃなくて…」

「揶揄ってないよ?
本気だよ?
でも、軽薄なヤツって思われたくないから、
真理子さんが良いって言うまで待ってるから」と言うと、
額にキスをする。

「今だって…
真理子さんのこと、抱きたいよ?」

瞳を覗き込むようにすると、
引き込まれるように口づけを交わした。


「水曜日は…病院に俺の兄貴が居るけど、
本当は会わせたくないな」

「えっ?」

「兄貴は昔から、
俺の大切なものを、何でも奪おうとするから…。
真理子さんのこと、
見せたくない」

「やだ。
私、そんなに素敵な人じゃないし」

「なんでそう思うの?
真理子さん、本当に可愛いし、
お化粧もしてないのに、綺麗だよ?
それに…」

「それに?」

少し複雑な表情を浮かべたけど、
海斗さんはそれ以上のことは言わなかった。
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