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揺れる心
第3章 横恋慕〜愛情か嫉妬か
「そうしたらすぐに子供が出来て、
両親はすぐに勘当を解いてくれたよ。
跡取り出来たと。
離縁だって、
子供が出来ない原因なんて、
当時はハッキリしなかったし、
大抵、女性のせいにされたものだからなと言ってたよ」

食後の焙じ茶を出して食器を下げようとすると、
「真理子さん、まだ調子悪いんだから、
俺が運ぶよ?」と手伝ってくれる。


「もうキスくらいはしたのかな」と言われて、
私はすっかり顔が紅くなってしまう。

「いや、つい気になってな。
こんなに素敵で、
しかも家庭的な女性だから、
油断すると誰かに盗られるぞ」と、
海斗さんにウィンクをする。

「陸也もちょっかい、出したんだろう?
あいつは本当にお前のものを何でも持っていこうとするからな。
海斗も遠慮したらいけないよ?」と、
少し真剣な顔をして続けた。

「陸也は、お前に対する嫉妬で、
お前のものを盗るだけだよ。
一度取り上げたら、
興味がなくなって捨てる。
昔からそうだった。
だから、真理子さんのことを大切に思うなら、
大切にし過ぎるのもどうかなと思うよ。
やる時は、ビシっと決めなさい。
女の人からは、言えないこともあるからね?」と、
海斗さんと私の顔を見ながらゆっくり言った。


「さて。
邪魔者は帰ろうかな?
海斗は泊まるんだろう?
良いよ。
タクシーで帰るから。
今度はうちに遊びにおいで?
いつでも歓迎するよ」と立ち上がった。

「そういう訳には…」と言って私も立ち上がると、
「爺ちゃん、真理子さんと送るよ。
その後、ここに戻って泊まるから」と言うので、
思わず海斗さんの顔を見てしまう。


「それは良いな。
真理子さんも良いだろう?」と大先生は優しい顔で笑うので、
思わず頷いてしまう。


3人でまた、車に乗ってご自宅まで送った。
閑静な住宅街の一角で、
私の実家も近くて少し驚いた。

ある意味、私の父や祖父とも同業者でもあるから、
もしかしたら知り合いかもしれないと思いながら頭を下げた。


2人になると、
「本当に泊まっても良いの?」と海斗さんが訊いた。

私はそっと頷くと、
「じゃあ、ちょっと遅くまでやってるドラッグストアに寄りたい。
着替えのTシャツとパンツ、買いたいし」と言うので、
立ち寄って買い物をした。
コンドームもカゴに入れてたみたいだけど、
見ないフリをして、部屋に戻った。
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