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揺れる心
第5章 油断
甘い週末を過ごして、
翌週末にはお泊まりと話していたけど、
私の方が金曜日から出張になってしまった。
戻りは土曜日の夜になるので、
お泊まりは次の週に変更にすることにした。
おまけに仕事がばたついてしまって、
水曜日のリハビリも間に合わないまま、
バタバタと金曜日の早朝、新幹線に飛び乗って大阪に向かった。
会議に直行して会食をして、
10時過ぎにホテルにようやくチェックインしていると、
後ろから声を掛けられた。
「真理子さん?」
ゆっくり振り返ると、
海斗さんのお兄様がスーツ姿で立っていた。
「えっ?
どうして?」
「学会でこちらに。
偶然ですね?
真理子さんはお仕事ですか?」と和やかに言うので、
頷くと、
「良かったら少し飲みませんか?」と言われる。
「いえ…明日も早いので…」と言うと、
「一杯だけでも?
この前、悪いことをしてしまったので、
お詫びしたいし」と言う。
「一杯だけなら…」と言って、
荷物をポーターさんにお願いして、
そのまま最上階のバーに上がった。
カウンターのスツールは私の身長には少し高くて、
脚もまだ少し痛くてもたついていると、
ヒョイっと抱えるように座らせてくれる。
「何にします?
僕はマッカランのロックで」
「私、あまりお酒は飲めないので…
何か軽くて少し甘いものを…」と言った。
軽くグラスを持ち上げて、
「乾杯」と小さい声で言ってから一口飲む。
「この前は申し訳なかったですね。
思ったより体重、軽かったのかな?
それとも薬に対する耐性のせいか、
すごく効き過ぎてしまって…」
「…」
「おまけに、凄く無防備で可愛らしかったので、
ちょっと理性を失ってしまいました」と頭を下げる。
穏やかな笑顔と話し方で、
とても意図的に私に酷いことをするようには思えなかった。
多分、ちょっとした気の迷いだったのかも。
私も弱っていて、
隙を見せてしまったし。
そう思ってしまう。
でも、海斗さんや大先生の話も聞いていたので、
曖昧な笑顔を浮かべながらも少し距離を置いておこうと思っていた。
「あの…。
僕のこと、誤解してませんか?
そんなに酷いヤツじゃないですよ?
まあ、バツイチではあるけど」と戯けた顔で言うので、
「あら。
私もバツイチですから」と言うと、
2人で声を上げて笑ってしまった。
翌週末にはお泊まりと話していたけど、
私の方が金曜日から出張になってしまった。
戻りは土曜日の夜になるので、
お泊まりは次の週に変更にすることにした。
おまけに仕事がばたついてしまって、
水曜日のリハビリも間に合わないまま、
バタバタと金曜日の早朝、新幹線に飛び乗って大阪に向かった。
会議に直行して会食をして、
10時過ぎにホテルにようやくチェックインしていると、
後ろから声を掛けられた。
「真理子さん?」
ゆっくり振り返ると、
海斗さんのお兄様がスーツ姿で立っていた。
「えっ?
どうして?」
「学会でこちらに。
偶然ですね?
真理子さんはお仕事ですか?」と和やかに言うので、
頷くと、
「良かったら少し飲みませんか?」と言われる。
「いえ…明日も早いので…」と言うと、
「一杯だけでも?
この前、悪いことをしてしまったので、
お詫びしたいし」と言う。
「一杯だけなら…」と言って、
荷物をポーターさんにお願いして、
そのまま最上階のバーに上がった。
カウンターのスツールは私の身長には少し高くて、
脚もまだ少し痛くてもたついていると、
ヒョイっと抱えるように座らせてくれる。
「何にします?
僕はマッカランのロックで」
「私、あまりお酒は飲めないので…
何か軽くて少し甘いものを…」と言った。
軽くグラスを持ち上げて、
「乾杯」と小さい声で言ってから一口飲む。
「この前は申し訳なかったですね。
思ったより体重、軽かったのかな?
それとも薬に対する耐性のせいか、
すごく効き過ぎてしまって…」
「…」
「おまけに、凄く無防備で可愛らしかったので、
ちょっと理性を失ってしまいました」と頭を下げる。
穏やかな笑顔と話し方で、
とても意図的に私に酷いことをするようには思えなかった。
多分、ちょっとした気の迷いだったのかも。
私も弱っていて、
隙を見せてしまったし。
そう思ってしまう。
でも、海斗さんや大先生の話も聞いていたので、
曖昧な笑顔を浮かべながらも少し距離を置いておこうと思っていた。
「あの…。
僕のこと、誤解してませんか?
そんなに酷いヤツじゃないですよ?
まあ、バツイチではあるけど」と戯けた顔で言うので、
「あら。
私もバツイチですから」と言うと、
2人で声を上げて笑ってしまった。