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揺れる心
第5章 油断
「えっ?」
と、海斗さんと2人で声を上げてしまう。


「別にうちは跡取りとか、考えたことなかったのよ?
開業医じゃないし。
でもね、海斗さんが脳外科に進みたかったって話を聞いたら、
パパが俄然、燃えちゃってね」と楽しそうに笑う。

「そしたら、安藤先生も、
『安藤家は長男居るから、海斗の父親も文句は言わないだろう。
海斗もこの家で肩身の狭い思いをさせてきてしまって、
安藤の名前にそんなに思いはないと思う』って仰ってたの。
あ、勿論、海斗さんの気持ち優先よ?」


「確かに俺は、安藤家では邪魔者で、
爺ちゃんが…祖父がそれで良いと言うなら、
名字が変わっても構いません。
俺の家族は…母が亡くなった後は、
祖父母だけでした。
これからは、真理子さんとそのご家族、
それに祖父が俺の家族だと思います。
真理子さんはどうかな?」

「私は…海斗さんと一緒に居れるなら、
それだけで良いの」


「じゃあ、決まりね?
後は…さっさと入籍しちゃいなさいな。
もう、結婚しないんじゃないかと思ってたから、
本当に嬉しいわ。
パパも喜んでたの。
式は、もう内輪だけで良いでしょ?
あ、もしかしたら、
病院関係者とかに『うちの息子だから』って見せびらかしたいから披露宴しようってパパが言うかもしれないけど、
そのあたりも2人の気持ちを優先してね?」と笑いながら帰って行った。



退院の時間になったので、ひとまず着替えをした。


「爺ちゃんが心配してたから、
先にうちに寄っても良いかな?
その後、どっちに住むか決めようか?」と言うので、
一緒に海斗さんの家に向かって、
初めて家の中にお邪魔した。


とても落ち着く雰囲気のお家で、
入った瞬間に懐かしくなるような気持ちになった。


リビングには古いゴブラン織りのソファやアンティークの家具が並んでいる。
刺繍が美しく施されたクッションや布が掛けてあるのを見て、
「とても素敵!」と声が出てしまう。


「これは亡くなった妻や、海斗の母親の百合子さんが作ったものなんだよ」と、
懐かしむように大先生がそっと撫でる。


「真理子さんの部屋に初めて行った時に、
ソファに掛かってる布とかを見た時にね、
なんか、婆ちゃんとか、
あんまり覚えてない母のことを思い浮かべたんだよね」と、海斗さんがそっと言った。
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