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揺れる心
第6章 秘密
その便箋には、ブルーブラックのインクで美しい文字が書かれていたけど、
内容は読まなければ良かったと後悔してしまうようなものだった。
許されないことをしてしまいました。
とても生きてはゆけません。
海斗さん、独りにしてしまってごめんなさい。
お星様になって海斗さんを見守ります。
さようなら。
これって?
海斗さんのお母様の百合子さんが書いたもの?
小さい時に亡くなったと伺ったけど?
でも、訊いてはいけないような気がして、
さっと、その便箋を元の処に挟んで本棚に本を戻した。
キッチンで夕食の支度をしながらお手伝いさんのカヨさんにそっと訊いてみる。
「海斗さんのお母様って、随分前にお亡くなりになったと伺いましたが…?」
「そうですね。
海斗坊っちゃまが、5歳になる少し前でしたかね?
急なことでしたから…」
「急?
事故か何かだったんですか?」
「ええ…まあ、そうですね」と、
歯切れの悪い物言いをする。
あまり詮索するべきではないことだと感じて、
「とてもお綺麗な方だったんですね?
お写真を海斗さんに見せていただきました」と言った。
「とてもお綺麗でしたよ。
真理子様に似てらっしゃるので、
ビックリしたんです」
「あら。
私、綺麗じゃないです。
お化粧もしないし…」
「百合子様もそうでしたよ。
お化粧してないのに、
透明感のある綺麗な方でした。
いつまでも女学生のような感じもして…」
内容は読まなければ良かったと後悔してしまうようなものだった。
許されないことをしてしまいました。
とても生きてはゆけません。
海斗さん、独りにしてしまってごめんなさい。
お星様になって海斗さんを見守ります。
さようなら。
これって?
海斗さんのお母様の百合子さんが書いたもの?
小さい時に亡くなったと伺ったけど?
でも、訊いてはいけないような気がして、
さっと、その便箋を元の処に挟んで本棚に本を戻した。
キッチンで夕食の支度をしながらお手伝いさんのカヨさんにそっと訊いてみる。
「海斗さんのお母様って、随分前にお亡くなりになったと伺いましたが…?」
「そうですね。
海斗坊っちゃまが、5歳になる少し前でしたかね?
急なことでしたから…」
「急?
事故か何かだったんですか?」
「ええ…まあ、そうですね」と、
歯切れの悪い物言いをする。
あまり詮索するべきではないことだと感じて、
「とてもお綺麗な方だったんですね?
お写真を海斗さんに見せていただきました」と言った。
「とてもお綺麗でしたよ。
真理子様に似てらっしゃるので、
ビックリしたんです」
「あら。
私、綺麗じゃないです。
お化粧もしないし…」
「百合子様もそうでしたよ。
お化粧してないのに、
透明感のある綺麗な方でした。
いつまでも女学生のような感じもして…」