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揺れる心
第1章 雨の日の出会い
どうしてそんなことを言ってしまったのか、判らなかった。
離婚して以来、
誰かがこの部屋に来ることもなかった。
お医者様だから。
そんな安心感はあったのかな。
それと、若いから、
私のことなんか、
問題外だろうという気持ちもあった。
物理的に、歩くのが辛いということもあった。
来客用のスペースに車を停めて貰って、
荷物を持って貰いつつ、
抱えられるようにエントランスを抜けて、
エレベーターに乗った。
「抱き上げちゃった方が楽なんだけど、
人目があるから恥ずかしいですよね?」と笑って、
抱えるように部屋まで来て貰った。
「ごめんなさい。
来客とかないので、
スリッパもなくて。
私のだと…小さいですよね?」と言いながら、
自分の脱いだ靴を端によけてからスリッパを置いてみたけど、
「んー。そうですね。
スリッパなしで歩いても良いですか?
お邪魔します」と言うと、
振り返って靴を揃えて入った。
壁を伝わるようにつかまりながら奥に進んでいくと、
「抱き上げて運びましょうか?」と、クスクス笑われてしまう。
…これって、オバサンを揶揄ってるのよね?
と、少しカチンとしながら、
「お気遣いなく!」と言って、
「こちらにどうぞ」と、リビングに通して、
ソファに座って貰った。
「えっと…アレルギーとか、好き嫌い、
ありますか?
食べたいもの、あったら言ってみてください」
「アレルギーも好き嫌いもないし、
出されたものは何でも食べるよ。
でも…」
「でも?」
「でも、立って調理するの、
辛いんじゃない?」
「キッチンは捕まるとこ、たくさんあるから大丈夫です。
何でもっていうのも困る。
和洋中では、何気分ですか?」
「んー。じゃあ、ハンバーグ」
「すごく具体的ですね。
判りました。
少しお時間くださいね?
取り敢えず、コーヒー飲んでてください」と言って、
ネスプレッソのマシンでコーヒーを淹れて出した。
普段、お弁当を持参してるので、
食材のストックは結構ある。
ご飯を早炊きでセットする間に、
和風のハンバーグと具沢山のお味噌汁、
小鉢にいくつかの惣菜を用意して、
炊き立てのご飯と一緒にテーブルに並べた。
離婚して以来、
誰かがこの部屋に来ることもなかった。
お医者様だから。
そんな安心感はあったのかな。
それと、若いから、
私のことなんか、
問題外だろうという気持ちもあった。
物理的に、歩くのが辛いということもあった。
来客用のスペースに車を停めて貰って、
荷物を持って貰いつつ、
抱えられるようにエントランスを抜けて、
エレベーターに乗った。
「抱き上げちゃった方が楽なんだけど、
人目があるから恥ずかしいですよね?」と笑って、
抱えるように部屋まで来て貰った。
「ごめんなさい。
来客とかないので、
スリッパもなくて。
私のだと…小さいですよね?」と言いながら、
自分の脱いだ靴を端によけてからスリッパを置いてみたけど、
「んー。そうですね。
スリッパなしで歩いても良いですか?
お邪魔します」と言うと、
振り返って靴を揃えて入った。
壁を伝わるようにつかまりながら奥に進んでいくと、
「抱き上げて運びましょうか?」と、クスクス笑われてしまう。
…これって、オバサンを揶揄ってるのよね?
と、少しカチンとしながら、
「お気遣いなく!」と言って、
「こちらにどうぞ」と、リビングに通して、
ソファに座って貰った。
「えっと…アレルギーとか、好き嫌い、
ありますか?
食べたいもの、あったら言ってみてください」
「アレルギーも好き嫌いもないし、
出されたものは何でも食べるよ。
でも…」
「でも?」
「でも、立って調理するの、
辛いんじゃない?」
「キッチンは捕まるとこ、たくさんあるから大丈夫です。
何でもっていうのも困る。
和洋中では、何気分ですか?」
「んー。じゃあ、ハンバーグ」
「すごく具体的ですね。
判りました。
少しお時間くださいね?
取り敢えず、コーヒー飲んでてください」と言って、
ネスプレッソのマシンでコーヒーを淹れて出した。
普段、お弁当を持参してるので、
食材のストックは結構ある。
ご飯を早炊きでセットする間に、
和風のハンバーグと具沢山のお味噌汁、
小鉢にいくつかの惣菜を用意して、
炊き立てのご飯と一緒にテーブルに並べた。