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私立煩悶女学園の憂鬱。
第1章 水球部 編 (1)

屋内の水球専用プールがある施設の中。そのプールサイドに集合している俺達7人は、この春から煩悶女学園に転校をしてきた2年生ばかりだった。もちろん全員水球の現役の選手だ。
今まで所属していたチームでレギュラーとして全国大会を経験している。その実績を評価されて全国からスカウトされたのだ。だから技術、体力、戦術の理解などには、各自自信を持っている。目標は全国大会出場。次にその中で勝ち抜いて行くこと。そして最終目標は優勝することだった。
と、表向きの理由は私立校にありがちな有望な選手を集めての強いチーム作り、とされている。しかし本当の理由は他にあった。

暫く待っていると、俺達たちが入ってきた入口とはプールを挟んで反対側にある入口から、水球用の水着を着た女子部員達が、楽しそうな笑い声を屋内プールに響かせながら入ってきた。明るくキャピキャピとした雰囲気にプールサイドが包まれていく。キラキラとした弾けるような若さが水面にも反射しているようだ。眩しさを感じ、目を細めてしまう程だ。
しかし、反対側のプールサイドに俺達を見つけるとその雰囲気は一変した。シーンと言う音が聞こえるかのように静まり返ってしまう。全員、俺達を見つめている。女の子には慣れていると自負している俺でも緊張してしまう。他の6人も緊張し始めているのが分かる。それは女子達全員が俺達に向って歩き始めると、更に高まっていった。

ここに集められた本当の理由は、俺達が全国大会に出場することでは無かった。今目の前にいる彼女達、女子水球部を全国大会に出場させるために集められたのだ。
能力的に他のチームに大きく劣っている訳では無いらしい彼女達だが、今一つ決め手を欠き、都内の大会を勝ち上がれないでいるそうだ。そこで強度の高い練習をするために、常に男子チームと練習できる環境が整えられたのだ。俺も、そのメリットは計り知れないと思う。
フィジカル、シュートやパスのスピード、スタミナ、などの面で普段から男子と競っていれば、女子チームとの対戦は随分と楽に感じられるだろう。

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