この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
爛れる月面
第2章 湿りの海
 取り繕いようのない、不様に濁った呻きとともに、ソファを踏み外した。倒れこむ体を井上に抱きとめられる。ヌメりを残した指先に背をなぞられて、温かな湧水が噴き出し、腰が滑らかに、大胆に引き攣りっぱなしだった。

「……二週間したら、戻る予定だ」
 霞む意識の中で、低い声が流れ込んできた。「再来週の土曜日だ。……残念、徹くんに先約を入れられてしまった」

 腹の下で激しく弾んでいた肉茎が離れていく。まだ意のままにならない腰が浮かされ、絶頂したばかりの狭間に、ドス黒い情熱を充満させた先端が当てがわれる。

「……っ、……ね、最後……、これで最後に、して……」
「君が決めることだ」

 か細い声で訴えたが、引き寄せよせられれば従ってしまう下腹に、何度目かわからない圧倒的な肉の感触が押し入った。たまらず紅美子は割り座で跨ったまま背を反らしたが、下から、動くように、と軽く催促されただけで、しなやかな肢体が上下に揺れ始める。

「っう……、おっ、お願い、さっ、最後……」

 今日で最後だと思ったから、帰らずに足を踏み出したのだ。

 ……本当に?

 窓が目に入った。内外の明暗によって、鏡となっている。

 全裸の女が、縦に揺れている。長い髪を揺らして、逞しい男に抱かれている。陰影が足らず、どんな顔をしているのかは、よく見えない。

 何故、こんなところにいるのだろう。どうして、こんなことをしているのだろう。ひどい目に遭い、ひどいことをしているのに、凶々しい高揚から逃れることができない。

「こ、こんなの……だめ、だって」

 誰だって、やることなすこと、すべてを説明できるわけではない。
 きっとそうだ。そうあってほしい。

 ──ただ、今は、彼には会えない。










/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ