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爛れる月面
第3章 広がる沙漠

揺り戻しの喜悦に全身が包まれた。快楽のせいではない涙が溢れてくる。
「……ごめんね、クミちゃん。俺、クミちゃんのことを、こうやってたくさん愛してこなかった……。ごめん。これからは、いっぱい愛する。いっぱい気持よくしてあげたい」
今にも断絶しそうな意識の中でも、確かに、聞こえてきた。
「クミちゃん、もう……、挿れたい」
股ぐらから彼が去る。紅美子は恍惚に身を委ね、彼が自分に覆いかぶさり、彼なりに愛おしんでくれた場所に、彼の愛情の最たる化身が埋ずめられてくるのを待った。
しかし、なかなかその時は訪れなかった。訝しんで半身を起こすと、徹はこちらに背を向けており、自分の下半身を覗き込んでいた。傍らには、封の切られたビニールが落ちている。
「……あ、あのね、徹……」
「ん?」
曇りの一つもない微笑みが振り返る。肉茎は薄緑色の皮を纏い、それでも愛しい人と繋がることができる歓喜を全身で表していた。二週間前から決めていたというのに、十年の約束を前に言い淀んでしまった紅美子へ、
「愛してるよ、クミちゃん」
耳元で囁きつつ、純真がいっぱいに詰まった彼の体の一部を埋ずめてきた。
「……ごめんね、クミちゃん。俺、クミちゃんのことを、こうやってたくさん愛してこなかった……。ごめん。これからは、いっぱい愛する。いっぱい気持よくしてあげたい」
今にも断絶しそうな意識の中でも、確かに、聞こえてきた。
「クミちゃん、もう……、挿れたい」
股ぐらから彼が去る。紅美子は恍惚に身を委ね、彼が自分に覆いかぶさり、彼なりに愛おしんでくれた場所に、彼の愛情の最たる化身が埋ずめられてくるのを待った。
しかし、なかなかその時は訪れなかった。訝しんで半身を起こすと、徹はこちらに背を向けており、自分の下半身を覗き込んでいた。傍らには、封の切られたビニールが落ちている。
「……あ、あのね、徹……」
「ん?」
曇りの一つもない微笑みが振り返る。肉茎は薄緑色の皮を纏い、それでも愛しい人と繋がることができる歓喜を全身で表していた。二週間前から決めていたというのに、十年の約束を前に言い淀んでしまった紅美子へ、
「愛してるよ、クミちゃん」
耳元で囁きつつ、純真がいっぱいに詰まった彼の体の一部を埋ずめてきた。

