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渇いた心に水を注ぐ
第8章 歪んだ愛情〜英一
結局、僕は無罪になった。
真由子さんが、女のことをもっと調べて欲しいと言ったことで、
再調査され、女から薬物反応が出て、
それで心停止したのが死因だとされた。
裁判の時に証言台に立つ真由子さんは、
あまりにもか弱くて見ているのも辛かった。
もう辞めてくれと、止めたくなるような下品な質問を、
検察側からも、
僕の弁護士からもされていたけど、
真由子さんは必死に答えようとして倒れそうになっていた。
裁判が始まる時点で離婚届を弁護士を通して渡していたけど、
驚いたことに真由子さんは離婚しないと言っていると言われた。
無罪になった後も、
離婚については首を縦に振らないそうだった。
僕を支えたい。
そう言ってくれてるという。
でも、僕はもう、
真由子さんとは一緒に居られない。
彼女が望む温かい家庭や子供を作ることが出来ない。
ただ、抱き締めて優しくキスして、
ベッドで戯れ合うように抱き合って、
普通にセックスしてれば良かったのに、
どうして僕は、
あんなに酷いことをしてしまったんだろう。
元々、嗜虐的な性癖があったのかもしれない。
真由子さんが怯えるような顔をしてるのを見て欲情する時点で、
そうだったんだろう。
きちんと愛してると言えば良かった。
そして、真由子さんから愛してると言われたかった。
それだけが心残りではあるけど、
真由子さんを解き放つことが僕の最後に出来ることだと思う。
意識を失っている真由子さんにではなく、
きちんと覚醒している真由子さんに、
心から愛してると伝えたかった。
真由子さんには幸せになって欲しいと心から願っている。
僕みたいな性癖ではなく、
ノーマルでゆっくりしたペースで愛してくれるような男性に巡り合って、
温かい家族を築き上げて欲しい。
僕は心優しい真由子さんと過ごせて、
幸せでした。
真由子さん、
愛してます。