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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第2章 【それぞれの葛藤】
えぇ、怒って行っちゃった。
だからからかい甲斐があるって思われるんだよ。
その不慣れ感が母性を擽るのよね。
まんまと引っ掛ってる。
笑わずにはいられない。
「笑い過ぎですよ!アキ先生!」
「はーい、ごめんごめん」
「珈琲ですか!今日はミルクティーもありますけど!」
語尾がずっと怒ってる。
お腹抱えて笑っちゃう。
「じゃ、蓮くんのさっきのキス顔貰おうかな」
「だからしてませんって!」
「アハハハ…!」
ギャーギャー言い合ってるうちに千景ちゃんも来て洗面所で手洗いうがいしてる間に「もうこの話は一生終わりです」と口止めしてくるので不意打ちに胸ぐら掴んで引き寄せた。
さっきと同じ距離感で黙らせる。
「本当はシたかった?ちゃんと本当の事教えてくれたら一生口にしない」
「え、あっ……」
チラチラと千景ちゃんが来ないか見てる。
私の目は本気なのであっさり観念しました。
「すみません、はい、自分でもわかんないくらい昂ってました」
「シたかったんだ?エッチだね〜」
「すみません」
髪をクシャクシャっとして許してあげる。
「優秀なアシスタント失いたくないからこの話はこれでお仕舞いね」
そう言って離れて千景ちゃんにいつもの戯れ合いをしに行くのだ。
真っ赤にしてるキミの顔が早く元に戻るように。
たまにアシスタントの子たちが居る時間帯にも鍵山さんはやって来る。
ネームの確認と今後の打ち合わせをして1時間程度で帰っていく。
いつもお決まりのごとく家に居る時は白のコーデが多い私は、今日は珍しく黒の細身Tシャツに……白のカジュアルサロペット。
オシャレデザインで肩掛けは1本のみ。
そんな私が今、ソファーに膝立てて三角座りしては「絶対ヤダ」と鍵山さんに楯突いている。
「そんな事言わずに一度顔出して?」
頑なに拒否する私を見て半分呆れ顔。
だって嫌なものは嫌なんだもん。
出版社主催のパーティーに何で顔出ししてない私が出なきゃならないの?
漫画家も多数出席するそうなんだけど出来ればずっと出てない私は出てほしいみたいで。
一向にお互い譲らない姿勢だ。