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時と運命の調律者
第4章 綾壁蒼太
「真奈さんからお礼が来たわよ、“旦那さんを助けてくれて有難う”だってさ」

「ああ、鵺の件ですか。別に良いですよあれぐらい。それにお礼ならばキッチリ払ってもらってますからね」

 片手でスマートフォンを耳に当てつつ、電話口の向こうで言葉を紡ぐ年配の女性に応対しつつ、青年はもう一方の手で預金通帳の残高を確認した。

 そこには0が6つに7の文字が書かれている、つまりは7000000円を持っている、と言う事だ。

「別にただで助けている訳ではありませんからね、こっちも命懸けなんで・・・」

「そりゃそうだね、下手すりゃ自分も取り込まれちまうんだから。で、鵺はどうしたんだい?」

「瓶の中でじっくり力を奪います。コイツらはただ倒しただけではダメなんです。未成仏の動物霊って言うのはどいつもこいつも始末が悪い。特に狸や鵺なんて言うのはその最たるモノです、何せわざわざやられた振りをして術者に取り憑き、人生を狂わせる輩までいるんですからね。じっくりと時間を掛けて消滅させます」

「そっか、まあ“逃げれば良いよ”って言ったのに逃げなかったんだからね、そっちの方は任せるわ。こっちはね、真奈さんと充さん、ヨリを戻したみたいだよ、“もう一度やりなおそう”って、なったみたい」

「そうですか、それは何よりですね」

「話を聞いたんだけどね。充さん、前から自分を変えたいって思ってたんだって。確かに皆に愛されてるけどそれだけじゃなくて、ちゃんと肩を並べられるようになりたいって、その為には仕事をもっと出来るようにならなきゃいけないんだって。人には見せなかったけどかなり思い詰めてたみたいだよ」

「なるほどね、そこを突かれた訳ですか」
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