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時と運命の調律者
第33章 メリアリアside3
 それは人としては当たり前の気持であり思いであり、反応であったのだけど、同時に彼女は“自分で自分が傷付くのを恐れただけだ”と思っていた、蒼太の事では無くて、自分の事を優先したのだと、自分自身を責めていたのだ、しかし。

 そんな自分を、蒼太はそれでも笑って優しく受け入れてくれた、その葛藤も迷いも苦しみも、弱さすらも全て引っくるめて昔のように変わらずに、否、もっと深く激しく愛してさえくれたのだ。

 それどころか。

(それなのに・・・。あんな事言われたら。“自分が忘れさせてやる!!”なんて言われたらぁっ!!キュンキュン来ちゃうよ、疼いちゃうよおおぉぉぉっ。蒼太っ、蒼太ああぁぁぁっっ❤❤❤❤❤)

 蒼太は本当に強い人間なんだと改めて思った、それと同時にきっといっぱい傷付いて、苦労して来たんだろうなと、メリアリアは考える。

 あの額の傷だってそうだ、誰にやられたのだか知らないけれども、少なくともメリアリアが蒼太に一生モノの傷を付けた人間を一生許すことは無いだろう。

 どれだけ謝ったって許すことはしないだろう。

 もし。

 蒼太が光だとするのならば、自分は闇だとメリアリアは感じていた、でもそれでも良いと、彼女は同時に考えてもいたのだ。

 蒼太と共に歩めるのならば、共に生きる事が出来るのならば、それで全然構わないと、この時のメリアリアは心の底からそう思っていた。

 ・・・それが蒼太の心に更なる炎を燃えたぎらせて、自身を一層、激しく貪らせる遠因となるとも知らずに。
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