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時と運命の調律者
第33章 メリアリアside3
 蒼太に聞きたいことも山ほどあった、今は何をしているのか、とか、どうやって生きて来たのか、とか、自分以外に恋人は出来たのか、とか、出来てしまったのか、とか。

 なにより。

 自分の事をどう思っているのか、とか。

 だけど恐くて聞けなかった、もし望まない答えが返って来たならと考えると、今のこの関係も、即ち自分の事をメリーニとして受け入れて、曲がり形にも側に置いてくれている関係も崩れてしまうんじゃないかと考えると(つまりは“蒼太と一緒に過ごすんだ”、“過ごせるんだ”と言う自分の幸せの形が崩れてしまうじゃないだろうかと考えると)空恐ろしくて仕方が無かった。

 “これから一体、どうなるんだろう”、“自分はどうしたら良いんだろう”。

 その答えを見出す事は、遂に出来なかった、いやもっと正確に言えば見出す前に蒼太が自分から進んで色々な事を告白してくれて、やってくれた、蒼太からしてみれば既に最初の段階で自分の事に目星を付けて、見抜いてくれていたみたいだったから助かった、なにしろあの時のメリアリアは本当にフラフラであり、ただただ“蒼太に会いたい”と言うその一心で生きていたようなモノだったから、もし彼と出会えなかったら、また仮に出会えたとしても彼が自分だと解ってくれなかったら最悪、あそこで野垂れ死にしていた可能性すらあったのだ。

 蒼太とずっと一緒にいたい、昔のように愛し合いたい、愛されたいー。

 その思いは最高の形で叶う事となった、自分の本当の姿が彼によって認められ、クロードの事も話しが着いた、蒼太は解ってくれていたのだ、何も自分は心配する必要なんて無かったのだ、もっと彼を信用して、彼に全てを委ねれば良かった、自分の全てを曝さらけ出して、彼の懐に飛び込んで行けば良かったのである。

 そう言う意味で自分は汚い人間だと、メリアリアは思っていた、自分を矮小な人間だと思ってしまっていたのだ、それは状況的に仕方が無いモノだと、逆に彼女は思っていなかった、メリアリアにとって蒼太は生き甲斐であり希望でもあったから、その彼を失う事は、彼との事を失う事は何としても避けたかったのである。
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