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時と運命の調律者
第1章 セラフィムの内乱
誰にともなく文句を言いつつも、少年が歩を進めていた、その時だった、不意に頭上から凜とした声が響き渡り、それに反応するかのようにまだ年相応に幼さの残る顔が一瞬、強張る。
少年がハッとして上を見上げると、一際高い尖塔の頂上に一人の美少女が立っていた。
年の頃は彼よりもやや上な位か、長くて美しいハチミツ色の髪の毛をツインテールで結び、よく晴れた日の澄み渡った青空のように輝く瞳をこちらへと向けている。
ツンと上向いた鼻筋は気の強そうな印象を周囲に与え、その綺麗に整った顔立ちは将来は恐ろしい程の美人になるだろう事を予感させていた。
「蒼太・・・!!」
「メリー・・・!!」
二人は互いの名を呼び合って向かい合う。
魔道士のローブを模した、濃紺色の戦闘服が、しかしこの時はそれぞれの背景に上手く溶け込めずに却って互いの存在を浮かび上がらせていた。
「蒼太お願い、話を聞いて!!」
「話って、なんだよ。不意打ちするような奴らの仲間だった事を、いまさら言い訳するのか!?」
「違う、違うのっ。あれはそうじゃなくて・・・!!」
「じゃあなんだよ、ルキナを撃墜して、クロードさんまで・・・!!」
「違う、違うわ。それは違うのっ!!」
「違うもんか、現にさっき・・・っ。ああっ!!?」
「蒼太!!」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!?」
少年が何かを言い掛けた時だった、不意に地面に亀裂が走ったかと思うと次の瞬間にはもう、そのあたり一帯が崩落していた。
漆黒の少年、蒼太は避ける間もなくその虚無の穴へと飲み込まれて行き、無数の破片や残骸と共に眼下に渦巻くセーヌの怒濤へと真っ逆さまに落下して行った。
「・・・・・っ。え、ええっ!?蒼太・・・?」
後に残された少女、メリーは暫しの間、それを尖塔の頂上から呆然と眺めていたが、やがて我に返ると同時に駆けだしていた。
少年がハッとして上を見上げると、一際高い尖塔の頂上に一人の美少女が立っていた。
年の頃は彼よりもやや上な位か、長くて美しいハチミツ色の髪の毛をツインテールで結び、よく晴れた日の澄み渡った青空のように輝く瞳をこちらへと向けている。
ツンと上向いた鼻筋は気の強そうな印象を周囲に与え、その綺麗に整った顔立ちは将来は恐ろしい程の美人になるだろう事を予感させていた。
「蒼太・・・!!」
「メリー・・・!!」
二人は互いの名を呼び合って向かい合う。
魔道士のローブを模した、濃紺色の戦闘服が、しかしこの時はそれぞれの背景に上手く溶け込めずに却って互いの存在を浮かび上がらせていた。
「蒼太お願い、話を聞いて!!」
「話って、なんだよ。不意打ちするような奴らの仲間だった事を、いまさら言い訳するのか!?」
「違う、違うのっ。あれはそうじゃなくて・・・!!」
「じゃあなんだよ、ルキナを撃墜して、クロードさんまで・・・!!」
「違う、違うわ。それは違うのっ!!」
「違うもんか、現にさっき・・・っ。ああっ!!?」
「蒼太!!」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!?」
少年が何かを言い掛けた時だった、不意に地面に亀裂が走ったかと思うと次の瞬間にはもう、そのあたり一帯が崩落していた。
漆黒の少年、蒼太は避ける間もなくその虚無の穴へと飲み込まれて行き、無数の破片や残骸と共に眼下に渦巻くセーヌの怒濤へと真っ逆さまに落下して行った。
「・・・・・っ。え、ええっ!?蒼太・・・?」
後に残された少女、メリーは暫しの間、それを尖塔の頂上から呆然と眺めていたが、やがて我に返ると同時に駆けだしていた。