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時と運命の調律者
第2章 VS.怪人A
 何時からだろう、人が闇を恐れなくなったのは。

 何時からだろう、人が闇を打ち消して光の中で過ごすようになったのは。

 何時からだろう、人が幻想を忘れて現のみにうつつを抜かすようになったのは。

 それは恐らく、“都市”と呼ばれるものが形作られてからこの方のことだろう、大都会の喧騒と人混みに身を任せ、“静寂を楽しむ”と言う事を忘れ果ててしまった。

 自分自身を見つめ直して気を引き締め、或いは自分自身との対話の中で心を潤し、明日への活力と感性を磨くー。

 そんな当たり前の事を人々は忘れてしまった。

 しかし。

 人々が“それ”を忘れたとしても、“それ以外の存在”達は決してそれを忘れずに心掛けており、今日でも尚、それを当たり前の事として実行している。

 そう言った者達の内、天上に在る者達を人々は天使と言い、更に上の領域の存在を“神”と呼ぶ。

 一方で現世に近い幽世に住まう“狭間の”存在達の内、霊魂を“幽霊”と呼び、“魔の波動”から生じた化生を“物の怪”、或いは“魔物”と呼ぶが、その中には時折、人々に牙を剥く者達が現れるのだ。
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