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第22章 余韻

（ごめんなさい・・・アナタ・・・。）

目が覚めた時には、もう午後に近かった。

庭から涼子を呼ぶように吠えるベスの声に長い睫毛がゆっくりと瞬き、透通る瞳が光を揺らしながら現れた。

涼子はベッドの上に半身を起こすと、しばらくは呆然と窓の方を見ていた。

カーテンは閉ざされたままで室内は暗かった。

次第にベスの声がハッキリと聞こえてくる頃、涼子はようやく我に返り、窓辺に寄った。

窓を開けて下を見ると、ベスが庭の小屋の前で窓に向かって吠えていた。

涼子の顔を見付けると２、３度強く吠えた後で嬉しそうに尻尾をふっている。

涼子はフッと笑みを浮かべると、透通る声をベスに投げるのだった。

「ごめんね、ベス。今いくからっ・・・。」

そして空を見上げると、大きく息を吸った。

抜けるような青空が視界に広がる。

何か全てがスッキリとしていた。

涼子はもう一度大きく息を吸うと、白い歯をこぼすのだった。